一般財団法人日本不動産研究所 地域再生とまちづくり ――各都市が目指すものは <第4回> 長崎県西彼杵郡時津町・今も昔も交通の要衝 誰もが住みたくなる町へ 平たん地多く商業集積地に
住宅新報 2016年6月21日 号 22面
人口は増加傾向続く
時津町(とぎつちょう)は長崎市の北隣、大村湾の南岸に位置する、人口約3万人の長崎県では最も小さい面積の町である。多くの自治体が高齢化や過疎化に伴い人口が減少し続ける中で、時津町は基本的に増加傾向にある。一つの大きな要因として時津町が今も昔も交通の要衝であることが挙げられる。
時津は戦国時代、長崎が南蛮貿易の拠点として発展しはじめた頃から歴史に現れる。
1570年肥前国の有力大名、大村純忠が長崎を貿易港として開港して以来、全国から長崎へ多くの人が訪れるようになった。豊前国小倉を起点に博多、佐賀、諫早、日見峠を経由して長崎の東口へ至る長崎街道が主要なルートだったが、特に佐賀から長崎への道は山がちの地形で難所が多く、人馬による通過は困難だった。このバイパスの役割を担ったのが彼杵宿(長崎県東彼杵町)を起点に船で大村湾を南下縦断し大村藩領時津村(時津町)へ上陸後、浦上村(長崎市浦上地区)を経由して長崎の北口へ至る時津街道だった。
かつての時津街道は国道206号となり、西海市を経由して佐世保市と長崎市を結ぶ幹線道路となった。また国道207号も走り、こちらは長与町を経由して諫早市と長崎市を結ぶ幹線道路。二つの国道が交わる時津町交差点付近に時津町の官公署や中心市街地がある。
小売業者は地価が高く平たん地が少ない長崎市では広大な敷地の確保が難しくなり、比較的平たん地が多い時津町で出店先を求めるケースが多くなった。その流れから国道206号沿いにはミスターマックス時津ショッピングセンター、長崎県土地開発公社の時津第8工区、時津第10工区の商業施設群、時津町交差点付近より南部にヤマダ電機、ドンキホーテ、ニトリほかが、国道207号沿いにはイオン時津ショッピングセンターなどが出店。
現在では人口約3万人の町でありながら長崎都市圏において長崎市中心部に次ぐ商業施設集積地域となっている。かつて買い物客はベッドタウンである時津町から長崎市へ向かっていたが、ここ数年でその動きの一部は逆流し、特に土日は自動車利用客が周辺市町から時津町へ集中するため、激しい交通渋滞が問題となるほどである。
県内トップ進学校も
時津第10工区の商業施設群近くで分譲された住宅団地「時津シーサイドひなみ」は全78区画が早々に完売するなど、長崎市の平均的な住宅地価格を超える事例も現れている。
また、町内にはキャンプ場を備えた風光明媚な崎野自然公園、本格的なクラッシックコンサートも対応可能な「とぎつカナリーホール」、長崎県トップ進学校である青雲学園など特色ある教育・文化施設もそろっているため、特に子育て世代のファミリー層には注目されており、時津町のキャッチコピーである「生活都市とぎつ『誰もが住みたくなる町へ』」がまさに実現されている。
(日本不動産研究所長崎支所、不動産鑑定士・田平和史)


























