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スタンダード会員限定増税延期で業界は? 平準化、プラス要素多い 「税制議論」の期間にも

住宅新報 2016年6月7日 号 1面

政策
増税延期は業界にプラスの効果をもたらすという意見が大半だ

増税延期は業界にプラスの効果をもたらすという意見が大半だ

 富士通総研上席主任研究員の米山秀隆氏は、「10%への増税については、決して急ぐ必要はないと思っていた。今回の延期により、増税時期はオリンピック景気による経済環境の好転が期待できる時期となる。景気全体に大きな影響を与えることなく、増税を実施できるのではないか」と語る。また、みずほ証券経済調査部上席主任研究員の石澤卓志氏は、「増税延期により駆け込み需要がなくなるため、16年度の民間住宅投資は当然ながら落ち込むだろう。ただ、『平準化』は業界にとってはプラス要素。安定した住宅事業を展開できる」とする。

 経済の専門家は、今回の増税延期を「前向き」に捉える見方をしているが、住宅・不動産業界はどうか。全国宅地建物取引業協会連合会会長の伊藤博氏は、「景気動向や業界の現状、先行きの不透明感を考えると、今回の再延期は歓迎すべき」と語り、全日本不動産協会理事長の原嶋和利氏も、「住宅という高額な商品の税率が2%上がるのは大変な影響がある。先に延びたことについては業界にとって良い方向に働くはずだ」と見る。

賃貸では懸念材料も

 消費税増税の時期について影響を受けやすいとされるのが注文住宅業界。住宅生産団体連合会専務理事の小田広昭氏は、「住宅展示場への来場者が増え出したところだが、既に増税延期は織り込み済みで全体的に冷静に受け止められているようだ」と語る一方、「ひとつ懸念されることは、これまで高水準を続けてきた賃貸住宅の建設需要の減速と、10%増税の時期が重なるようなことがあれば、市場全体が大きく落ち込む可能性がある」とする。また、増税による駆け込み需要がなくなることになるが、「政策や税制の変更で需要が急激に喚起されたり、縮小したりするような市場構造にこそ矛盾がある」と指摘する。その上で、「消費税や固定資産税など住宅に関わるすべての税制について、住宅政策に照らし合わせて本来どうあるべきか。延期の間、我々も一から勉強し直して議論に備えたい」と語る。

「負担軽減策」はどうなる? ローン減税・すまい給付金 延長を検討へ

 国土交通省は消費税率の引き上げへの対応として、住宅取得者の負担軽減策を二つ措置している。住宅ローン減税とすまい給付金だ。

過去最大の減税規模

 住宅ローン減税は自宅の新築や購入、リフォームに際して10年以上の借入期間でローンを組むケースが対象で、年末のローン残高の1%を所得税から10年間控除する仕組みだ。控除対象の借入限度額は4000万円(長期優良住宅や低炭素住宅は5000万円)、所得税からの控除限度額は400万円(同500万円)、住民税からの控除限度額は年間13万6500円となる。消費税率が8%に引き上げられて以降、所得税額からの控除限度額を従来の200万円から大幅に拡充。減税規模は過去最大となっている。

 一方、所得税の納税額が一定額に達していない場合などはローン減税の恩恵を受けにくく、増税の負担増のほうが上回ってしまう。こうした所得層に対して国交省が用意しているのが、すまい給付金だ。収入額の目安に応じて給付額が設定されており、消費税率8%の現在は最大30万円。税率10%時は更に、住宅取得者の対象収入を拡大した上で、給付額が拡充される予定。8%の現在は収入額510万円以下が対象だが、引き上げ後は同675万円超同775万円以下も対象となり、「一般的なサラリーマン層もかなり含まれることになる」(国交省)。最大給付額は、収入450万円以下の場合で50万円だ。

期限は19年6月

 現状ではローン減税もすまい給付金も19年6月が期限と定められているため、増税延長を受けて先延ばしされる見込み。消費税率引き上げの根拠は、12年に成立した、消費税法の一部改正などの法律を含む税制抜本改革関係法律。財務省が所管する同法の改正がこれから検討され、それに伴い両制度の新しい期限も示されるとみられる。

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