明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第136回 広い駐車場と危ない玄関 隣人として少し残念な建売住宅
住宅新報 2016年5月31日 号 4面
【学生の目】
上京して1年が経ち、浦安の街にも大分親近感がわいてきた。地方にいた頃は、すれ違う人ならだれにでも声をかけていた。都会ではそういう慣習がなく、上京したての頃は哀しい気持ちになったことを覚えている。
住んでいるアパートでは住人とバッタリ会うこともあるが、その際に必ず声をかけるようにした。名前も職業も分からないが、朝の「いってらっしゃい」や夜の「気を付けて」のキャッチボールが私たちの自然なコミュニケーションとなった。赤の他人だが、同じ集合住宅の住人に変わりはない。見ず知らずの人とつながる場となるのが不動産の魅力だ。
そんなアパートの隣に建売住宅が建設された(写真)。数カ月前までは空き家だったが、解体され、2軒の戸建て住宅が建設された。アパートと混在する戸建て住宅の評価は高くないが(渡邊継一郎「不動産の不思議第99回」15年9月8日号)、どんなコンセプトで造られたのか、隣人としては気になるところだ。
販売業者に話を聞くと、ターゲット層は30代という。2台駐車できる駐車場にゆとりがある。一方で、敷地と建物に連続性がない。比較的簡素な方法で最近流行のオープン外構のような演出もなく、玄関が丸見えだ。また、玄関が犠牲になっている。玄関ポーチの奥行が91センチしかなく、玄関扉を開くと階段から落ちてしまう危険がある。ポーチの狭さをカバーするためか、玄関ドアの幅が狭い、左手で引いて開く点も気になるところだ。更に、玄関の階段の蹴上げが大きい。
30代がターゲットであれば妊婦が使う可能性も高い。そこで、駐車スペースを半減し、玄関アプローチをつくることを提案したい。理由は次のとおりである、第1に、地域を観察したが車を2台所有する世帯はごくわずかである。第2に、アプローチをスロープとすればバリアフリー化できる。第3に、アプローチらしい仕上げとすると玄関までの空間が楽しくなる。第4に、玄関ドア部分の安全が確保できる。
広々とした駐車場は多様なニーズの受け皿になりえる半面、住宅の顔である玄関を貧素なものとし、妊婦や高齢者、場合によっては元気いっぱいの子供にも危ない空間を提供することになっている。また、安く造ったという印象を与えることになっている。無造作に造られた駐車場は、隣人にとっては少し残念だ。 (西田一輝 不動産学部2年)
【教員のコメント】
建て売りや売り建てを中心に、建築部分と外構部分の設計が分断されている住宅が多く、魅力に乏しい外構が住まいの価値づくりを毀損している。自分らしい使い方や空間の外構を入居後に造るオプションがあれば、住宅の購入層も拡大する。
























