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スタンダード会員限定改正宅建業法、成立 中古取引時の情報充実 インスペクション定着へ 10年後、10~20万件に

住宅新報 2016年5月31日 号 2面

政策
参議院国土交通委員会。全会一致で可決

参議院国土交通委員会。全会一致で可決

 インスペクション(建物診断・検査)の説明義務などを規定した宅地建物取引業法の一部を改正する法律案が、5月27日、参議院本会議(今週のことば)にて全会一致で可決、成立した。6月上旬までに公布される見込み。その後インスペクション関連の規定は2年以内、その他の規定は1年以内に施行される。本法案は4月28日に衆議院本会議において全会一致で可決し、参議院へ送付。5月26日に参院国土交通員会で可決され、本会議に送られていた。

 宅建業者に対して、(1)媒介契約締結時にインスペクション事業者の斡旋(あっせん)の可否を示し、依頼者の意向に応じて斡旋(2)重要事項説明時にインスペクション結果を買主に対して説明(3)売買契約締結時に基礎・外壁などの現況を売主・買主双方に確認してもらい、確認した内容を両者に書面で交付――の三点を義務づける。中古住宅取引時の情報提供を充実させることで、中古住宅市場の拡大を目指すのが趣旨だ。国交省は、法施行から10年後におけるインスペクションの需要を年間10万~20万件と試算している。

 インスペクションの適正性を担保するため、国交省は(1)調査・設計の専門知識をもつ者が実施する(2)指導監督の仕組みを制度上確保する(3)必要な人員を確保する――を重視。具体的には(1)建築士資格を保有し、一定の講習を修了した者を担い手とする(2)不適切なインスペクションを行った事業者に対しては講習団体による指導や除名、事業者名のHP上での公表のほか、建築士法に基づく処分を行う(3)既存住宅現況検査技術者(後述)の活用を図る――ことを検討している。

「履歴」も重説事項に 設計図書、点検記録など

 また、重説に住宅履歴の項目を追加。設計図書や点検記録、その他の書類で省令により定めるものの保存状況の有無の説明を義務づける。その他の書類には検査済証などが想定されるが、詳細は今後検討される見通し。

 改正法ではこのほか、営業保証金制度などによる弁済の対象からの宅建業者の除外、事業者団体に対して従業者への体系的な研修を実施する努力義務を課すことも規定。従業者研修には、インスペクションと瑕疵保険に関する内容も盛り込まれる方向だ。

 石井啓一国土交通大臣は5月26日の参院国交委員会で、中古住宅流通の多数を占める個人間売買において「売主と買主が安心して取引できる市場環境を整備する」と法改正の目的を説明。「宅建業者が専門家によるインスペクション活用を消費者に促し、住宅の品質について正確な情報を知らせる。インスペクションを実施した場合は結果の説明を宅建業者に義務づけ、その結果を活用して既存住宅売買瑕疵保険の加入を促進する」と話した。

瑕疵発覚時の〝救済措置〟 保険加入を円滑化へ

 国交省は、法で規定されるインスペクションの詳細を、施行までに省令で示す予定。担い手としては建築士資格を保有し、かつ調査に関する一定の講習を修了した者を想定している。

 現時点でこれと同等の能力を有するのが、既存住宅売買瑕疵保険の加入時の現場検査を担う建築士「既存住宅現況検査技術者」だ。全国で約1万人が登録している。重説に関連する講習を追加的に受けるなどすれば、登録済みの現況検査技術者が、改正法に基づくインスペクションに対応できるようにする方向。国交省によると、現況検査技術者は各都道府県に少なくとも数十人が在籍しており、「地方においても人材は確保できる」(国交省)としている。

 また国交省は、インスペクションで故意によらない見落としがあり引き渡し後に瑕疵が発覚した際、既存住宅売買瑕疵保険が消費者の救済措置になる、とみている。その手続きの円滑化を検討中だ。

 インスペクションを実施済みで「不具合なし」と判定された住宅の場合、保険法人による現場検査を省略して書類審査のみとし、保険料を付加的に支払えば保険加入を可能とする方向で調整している。同様の省略スキームは、瑕疵保険の現場検査を現況検査技術者が実施するケースで既に導入済み。これを活用することになりそうだ。

 

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