中古住宅・空き家フォーラム特集企画(2) 中古市場活性化と空き家問題 税制、ローン制度改正で促進 地域密着の強み生かす
住宅新報 2016年5月17日 号 1面

全日・原嶋和利理事長
――中古流通活性化に向けた貴協会の取り組み状況は。
「中古住宅については、これまで20年、25年経過すれば、その住まいの価値はゼロという固定観念があった。この意識を改革するところから進めねばならず、価格査定の見直しが図られている。例えば、リフォームしたものは加点するといった新しい価格査定などを会員にしっかりと伝える中で、中古住宅に対する考え方を変えていく、ここからスタートしていく」
――空き家については。
「中古住宅流通活性の延長線上に空き家問題もあると考えている。どのように流通させるか。そのためには、インスペクションをはじめとする施策が重要で、これを会員に理解してもらう。併せて、この4月からジャパン・ホームシールドを提携先にすることで、インスペクションを利用しやすくした。また、これにこだわらず他の機関とも提携しようということで、現在準備を進めている。この延長線には、瑕疵保険制度、そしてもっと先にはローン制度。今のようなものではなく、物件の寿命に沿った住宅ローンを開発、活用し、中古流通活性、空き家の抑制に努めていく。とにかく1つ施策を行えばいいのではなく、トータルに行っていくべきと思っている」
「空き家に関しては税制の問題もある。その場合、2つの立場を考えなければならない。一つが売主の立場。今年の税制改正で創設された、空き家に係る譲渡所得の3000万円控除がそうだ。もう一つは空き家の購入者の立場。こちらに立った税制は作れないか。これからの研究課題だが、例えば、特定空家に指定されたものを買い取って立派な住宅に再構築し、これを購入した人には税制上の特典を与えるなどだ」
――業界全体として取り組んでいく際の使命は。
「官民一体で取り組まなければならないのは、何度も言うようだが、『中古』に対する国民の考え方を変え、理解度を進めることだ。国が進める施策などを通じ啓発していくことが重要で、消費者にその仕組みを分かりやすく示すことが使命と考える。査定の仕組み、流通の仕組み、何ら不安材料はないということを消費者に汲み取ってもらう、こうした透明度を上げる努力を惜しまないことだ」
「また、今ハードルの高いことに取り組んでいるのが、空き家の所有者情報の開示だ。固定資産税情報によって所有者が分かれば、流通のスピードは極めて早くなる。開示先を宅地建物取引士にし、更に制約を設けるなど、厳重に取り扱うことを前提に、開示が進められないか検討している段階だ」
――両問題に対する協会の強みとは。
「我々協会の構成員は中小・零細業者。この強みは、何といっても地域密着だ。例えば、宅建士が中心となってリフォーム業者、あるいはインスペクション業者、建築士などとしっかりとしたチームを作り、空き家対策を講ずることができ、更に官民挙げての中古住宅流通に努めることができる。ある所では、その分野の代表者、行政とチームを作り住宅施策推進協議会を立ち上げている。単なる空き家対策でなく、その町のコミュニティの活性化策を行政と一体となって提案し、地域の皆さんの理解を得て、町おこしをしていく。こうしたことが行えるのが全日の強みだ。我々は全国組織でもあるので、そうした成功例が瞬時に他の県本部などに伝わる。ただ、全日だけでやっていこうというつもりはない。全宅連さんともタイアップして行っていきたい。空き家バンクの活用も、双方でますます進めていく」
――今回の宅建業法改正については。
「インスペクションの導入はこれまで法に取り入れられていない制度なので、更なる流通活性化の引き金として期待できる。また、これにとどめることなく、保険制度、住宅ローンなどとトータル化したシステムを作っていくことが必要だ」
――今後の見通しは。
「何よりスピード感が大事。そうすれば中古住宅流通、そして空き家問題は解決に向かう。欧米のような中古住宅を尊重する文化は、これだけ歴史の長い日本にも当然あるはず。住宅を資産として見つめながら、先人が作った建築文化を継承していく。これも業者の役割の一つではないか」






















