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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第116回 人に優しい観光スポット

総合
  • 桜庭修子 不動産学部2年

    1 / 2桜庭修子 不動産学部2年

  • 国際コンペで生まれた横浜港の施設

    2 / 2国際コンペで生まれた横浜港の施設

 【学生の目】

 自宅、大学、アルバイトなど毎日の暮らしで、私たちは常に土地と建物、つまり不動産を利用する。不動産は動かないことが特徴だが、不動産学を勉強すると疑問に思うことがある。道路は不動産だが、タクシー業は自ら不動産を準備せずに利用する。飛行機や旅客船は空気や水の中を移動するが、これらは不動産を使わない業種か。

 人や物が集まる場所を結節点という(岡部将史「不動産の不思議第114回」15年12月22日号)。駅や空港や港はその代表である。経済の国際化で人や物の動きが増加し、結節点も変化している。横浜港大さん橋国際客船ターミナルはその例だ。外国人観光客の急増が注目される中、日本の代表的な観光都市・横浜では14年度の観光集客実人員が3452万人と過去最高となった。

 観光客を受け入れる場所であるターミナルは02年に竣工した。建物の長さ約430メートル、高さ約15メートル、幅約70メートルで、延べ床面積は4.4万m2、地下1階地上2階建てである。1階は駐車場、2階は出入国ロビーとして税関、出入国管理、検疫施設のほか、2つのホールや店舗、レストランが多目的に利用できる。屋上はイベントや送迎に使う。にっぽん丸など3万トンまでの客船は4隻、ダイヤモンド・プリンセスなどより大きな客船は2隻が同時着岸できる。

 ターミナルは、国際デザインコンペで選定された英国在住の2人の建築家が設計した。このコンペには、世界41カ国から660件の応募があり、日本国内の国際コンペとしては過去最大だった。港内に突出するターミナルが港周辺の観光資源相互の景観を遮らないよう、建物は客船乗降に必要な高さに抑えた。「庭のような港」をコンセプトに、床は木製仕上げとし、屋上には天然芝の緑地を設けた。

 内部は無柱の大空間で、天井は三角錐を組み合わせたような構造体で開放感を味わうことができる。また、ターミナル内部には階段がなく、スロープとエレベーターで上下階に移動できる。人と地域に優しいスポットと言える。

 06年から愛称「くじらのせなか」で呼ばれるターミナルは、基本機能の客船ターミナルに加え、観光やコンサート、散歩やデートなど人々の生活で生きるスポットだ。国際コンペの成功事例といえる。趣旨を明確にして門戸を開き「ひとに優しいスポット」をつくる仕組みが定着すると素敵な結節点づくりを進められる。 (桜庭修子 不動産学部2年)

 【教員のコメント】

 かつて故郷の訛りを聞いた停車場が、今は空港や港に相当する。空気や水を移動する飛行機や客船が発着する「港」は、当地の不動産の始点ゆえに際立つ。基本機能だけでは不要時にただの箱に過ぎないが、多機能化して情報発信基地になった。

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