定期借地権の〝今日的〟活用 全国定期借地借家権推進機構連合会組織渉外理事 速水英雄 (2) 老朽化マンション再生(下) 入居者、事業者、誰も損をしない妙手
住宅新報 2016年1月12日 号 3面
連載: 定期借地権の〝今日的〟活用
底地売却で資金確保
今回は老朽化マンション再生手法として、「底地売却・定借活用モデル」を提案する(図参照)。同モデルの特徴は、建て替えではなく、大規模修繕、リノベーションなどによるストック活用型の再生を前提としていることである。建て替え型と異なり、次のような長所を有している。
(1)大規模修繕などはコストを低く抑えられるほか、その内容についても、資金(底地売却代金)に応じて調整できるため、地価水準が低い地方都市にも、相応に適用対象が広がる、(2)事業者は、地代収入により投下資本の回収および運用を行うため、適用対象の容積余剰や販売見込みなどによる制約を受けない、(3)ストック活用型であるため、住宅供給量の増加にはならない。
また同モデルは、資金力の不足する区分所有者にとっては底地売却で資金確保にはなるが、今後の地代の支払いという負担が発生する。
一方、資金力が十分にあり、底地の所有にこだわる区分所有者には、底地ファンドの持ち分を優先的に配分することで、今まで通り、建物と土地を所有することができ(自己借地権)、地代の支払いと同額のファンドの分配金を受け取ることができる。
大事な点は、老朽化→マンション価値の低下→建て替えがうまくいかない→老朽化を放置→資金力のある区分所有者は安値で売却して転居→居住環境の更なる悪化→更なるマンション価値低下、という悪循環を断つことである。
同モデルで定期借地権付マンションになっても、従前の老朽マンションよりは高値で売却できる可能性が十分にある。そのため、リノベーション直後の売却を考える区分所有者、そのまま継続居住の区分所有者、底地ファンドの出資者のすべてが利益を得ることができ、誰も損をしない。これが、究極の老朽マンション対策ではないだろうか。
老朽マンション問題が生じる根底には、所有権付分譲マンションに内在する当問題の発生リスクについて、事業者側も購入する側も十分に意識していないという点にある。現在でも大量の所有権付き分譲マンションが供給されているが、少なくとも今後の新規供給に際しては、事業者に対し将来的な当問題の発生リスクに関する説明および購入者に十分な資金積立て義務を課すなどの措置を講じない限り、将来的にも根本的な解決には至らないと考えられる。
一方、所有権付分譲マンションから定期借地権付分譲マンションへの変更は、次世代における同様の問題発生の回避をも意図したものである。
将来に問題残さない
定期借地権付分譲マンションでは、契約により一定の借地期間が定められており、その借地期間が満了したときに建物を取り壊すことが原則となる。このため、地主側も借地上の区分所有者側も、建物とその敷地を定められた契約期間において計画的に利用するという思考が生まれる。したがって、この期間における維持管理に併せて、構造的耐久性、リフォーム性、賃貸と転売の融通性、期間満了時の処分などが、建築設計や定期借地契約書、管理規約の中で計画的に配慮されている。
つまり、定期借地権付分譲マンションでは、基本的に現在のような老朽マンション問題が発生しない。マンション市場におけるその普及は、当問題を徐々に減少させ、根本的解決の一助となる。


























