日本不動産研究所<第18回> 地価で見る全国の都市 ――市街地活性化と課題 鳥取県倉吉市 観光客増を目指し基本計画 駅周辺と打吹地区を軸に
住宅新報 2015年10月6日 号 22面
地価の下落は縮小
倉吉市は、人口約5万人で、鳥取県中央部に位置し、中部圏域の拠点として古くより産業経済、文化、行政等の中心として発展した県内第三の都市である。倉吉市の中心市街地は、駅周辺地区と打吹地区に分けられ、打吹地区から駅周辺地区へと商業中心部は移行してきた。打吹地区は、かつては百貨店や大型スーパーがあったが、現在は閉店し、地区内でも空き店舗が目立ってきており、駅周辺地区の倉吉パープルタウンや幹線道路沿いの沿道型店舗に客足は移ってきている。
ここ10年近くの地価推移をみると、打吹地区の商業地の地価水準は半分以下に下落しており、商業地と住宅地の地価水準が概ね同等になっている。地価水準が高くない地域での大きな下落は、いかに地域の衰退が著しいかを示している。今までのような年間10%程度の下落率は縮小してきたが、下落傾向は継続している。この地価下落傾向に歯止めをかけるため、倉吉市では15年7月、中心市街地活性化基本計画を作成し、駅周辺地区と打吹地区の各役割をまとめ、目標と取り組みを設定した。観光業に力を入れているが、主な観光名所は次の通りである。
(1)白壁土蔵群・赤瓦
玉川沿いに並ぶ白壁土蔵群は江戸・明治期に建てられたものが多く、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。玉川の石橋や、赤瓦に白い漆喰壁の落ちついた街並みや老舗の造り酒屋、醤油屋から漂う香りは風情がある。
(2)打吹公園
戦国時代まで山城があり倉吉発展の基礎となったが、江戸時代はここに陣屋が置かれた。麓の打吹公園は山陰随一の桜の名所で、春になると、桜やツツジが咲き、多くの観光客で賑わう。原生林で覆われ、自然林の宝庫で、散策道や展望台などがある。
(3)琴櫻記念館
琴櫻は倉吉市出身で、昭和30年代後半から40年代に活躍した横綱である。柔道での噂を聞いた佐渡ヶ嶽から熱心に勧誘された。大関時代が長く、高齢での横綱昇進で、横綱在位8場所と短い(優勝回数は5回)。記念館では、小学校時代から横綱時代までの貴重な写真が展示されている。
(4)国鉄倉吉線廃線跡
倉吉線は倉吉駅から関金町山守駅までを結んでいたが、85年に廃止された。レールなどが放置されている場所が多数あり、また鉄道施設が残され再利用されており、鉄道ファン必見の廃線跡である。
新規出店者を支援
打吹地区では、若年層の居住人口の増加とともに、歴史的な観光拠点としての役割が期待されている。歴史的・文化的資源を生かした回遊型観光のまちづくりをめざし、倉吉商工会議所による空店舗を活用した新規出店者を支援するチャレンジショップ事業を展開している。事業を軌道に乗せるためには、観光客増加が最重要課題であり、観光名所の宣伝、新たな発掘を効率的に行う必要がある。
(日本不動産研究所鳥取支所、不動産鑑定士・向井伸)



























