先輩 仲介会社の調査を見ると、大規模オフィスビルの空室率は改善傾向が続いているけれど、中小ビルの状況はどうなの?
後輩 なかなか数字として示すのは難しいのですが、やはり古いものを中心に空室に悩むオーナーは多いと聞きます。
先輩 都心部には、バブル期に大量に中小ビルが供給されたから。そうしたビルは今や築20~30年といったところだ。設備も老朽化しているだろうし。周辺に新しい大型ビルが出来ると移転するテナントは多いだろう。
後輩 バブル期にはそんなに中小ビルが大量供給されたのですか。確かに最近の新築ビルは超大型が目立ちますね。
先輩 ザイマックス不動産総合研究所が昨年、面白い調査結果を発表していた。「東京23区のオフィスピラミッド」(左図)といって、「人口ピラミッド」にならってオフィスビルを大規模(延べ床面積5000坪以上)と中小規模(同300~5000坪未満)に分けて、築年ごとにストック量を示したものだ。
後輩 どのような結果ですか。
先輩 棟数ベースでは大規模ビルの割合は10%程度。残り90%が中小規模ビル。その中小規模ビルを面積ベースでみると、バブル期に大きな山がある。つまり大量供給だったことが分かる。その後は低水準が続いており、築20年未満は2割にとどまる。築20年以上が8割。つまり高齢化が進んでいる。
後輩 古くなると、テナントから敬遠されてしまうから…。そもそも人口減少時代ですから、オフィスワーカーの減少も気になります。それにIT化や働き方の変化で、オフィス以外で仕事する人もいます。中小ビルの空室が増える要因はいくつもあります。
先輩 だからこそ、新しい対策が登場しているのでは?
後輩 そうですね。従来型の事務所用途に限らないことがポイントかもしれません。空室となったワンフロアを使って貸し会議室にしたり、小割りにしてレンタルオフィスにするケースもあります。レンタル収納スペースに転用する事例もありました。
先輩 建物全体の用途を変更するビルもあった。
後輩 ええ。事務所として使っていたビル全体を改修し、ホテルとして利用するケースが最近目立ちます。観光客の増加に伴いホテルは不足気味ですから、稼働率も良いようです。更には、社会福祉モールに再生しようというプロジェクトも登場しています。これからは女性や外国人が働きやすい環境が必要という考えのもと、都心の中小ビルを、医療や介護、保育園、病児保育などが入るモールにするのです。
先輩 でもそれだけ大がかりになると、ハード面の課題も出てきそうだ。
後輩 築年数の古いビルになると、旧耐震だったり、検査済証がないケースも多々あるようです。そういったビルになると、用途変更が難しく、また金融機関からの融資も確保しにくいといった課題もあります。
先輩 ストック活用は国を挙げての命題であり、制度改革も進みつつある。対処法はいろいろ出てきている。一つの不動産をどのように手を加え、よみがえらせることができるかは、不動産業界で働く人の手腕にかかっている。何より、中小規模ビルは大量のストックがある。人口減少や働き方の変化、観光需要などを考えると、いろいろな活用方法がありそうだ。有望な市場じゃないかな。























