明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第102回 銅板を使った瓦屋根 伝統様式で素材を生かす
住宅新報 2015年9月29日 号 4面
【学生の目】
埋立地に形成された浦安市の新市街地にある住宅は国籍不詳の建物が少なくない。そんな中、今川地区で写真の住宅に出合った。数奇屋造りといわれる伝統的な様式の和風住宅だ。軒の出が大きく庇(ひさし)の影が深い。庇の先端がつくる水平の線がシャープで、窓につけられた竪格子の垂直線も印象的である。全体的に線が強調されたデザインだ。
屋根をよく見ると、瓦のほか銅板を使っている。それが高級感と美しさにつながっている。調べると、瓦は一文字瓦といわれる種類で、直線的な形をしていて銅板と相性がよい。
私たちが住んでいる建築物に必ずついている屋根には大きく、生命と財産を守る、快適性を確保する、長期間使えるようにする、という3つの役割がある。そのために屋根材には防水性、耐火性、耐寒性、断熱性、遮音性、耐風性、耐震性、耐久性、通気性、耐圧性、経済性、美観性などが求められる。これらの性能を踏まえて、銅板を使った瓦屋根は次の通り説明できる。
瓦屋根は、一部を重ねながら瓦を敷き詰めた屋根だ。瓦は昔から広く使われてきていて、耐久性が高く不燃性で、耐熱性能もある。しかし、重量があるため強風には有利だが地震には不利である。
瓦屋根に銅板を使うメリットとして、一つ目は、耐久性、加工性ともに優れていてメンテナンスがしやすい点だ。二つ目は、瓦よりも軽量で、構造体への負担が少ない点だ。三つ目は、腐食してできる緑青(錆の一種)が表面を覆って銅板内部の保護膜となり、塗装が必要ない点だ。四つ目は、美観に優れていて気品と高級感があり、和風の家の玄関屋根などに適している点だ。
デメリットとして一つ目は、熱伝導率が高く、材料そのものに断熱性がなく、伸縮率がある点だ。しかし、断熱性の問題が少ない庇部分などに使うことでこの欠点はカバーできる。二つ目は、コストが高い点だ。しかし、部分的に使うことでこの欠点を小さくすることができる。
屋根の形が住宅の外観や街並みを崩すことも少なくない(小野史奈「不動産の不思議第51回」14年9月23日号)が、この住宅はシンプルな切妻屋根ながら、銅板を使うことで外観と街並みを整えている。銅板の高価である欠点を踏まえて狭い範囲でアクセントとして使い、断熱性がないという欠点を踏まえて庇部分に使って材料を生かし、建物の価値を高めている。 (佐藤寿哉 不動産学部1年)
【教員のコメント】
都市部では3階建てが増え、建物外観の縦横比が変わりつつあるが、造形的に成功した建物を見ることは少ない。工場生産によると思われる住宅も増える中、作法を踏まえた手作り感があり、造形美のある住宅は新鮮だ。都市の資産として伝えたい。
























