マンションづくり、不断の努力 長谷工LIPS 事業主との「提案の場」 商品アイテム見て、触って、選ぶ
住宅新報 2015年8月11日 号 19面
「マンション大量供給時代」の終焉から8年が経過した。「つくれば売れる」と揶揄(やゆ)された時代も今や昔。そのような時代が再び訪れることはないだろう。消費者目線のマンションづくりに向け、試行錯誤を繰り返すディベロッパー。そのサポートの一つが、マンション建設最大手である長谷工コーポレーションの「提案」だ。
東京都品川区。1310m2の展示スペースに、金具、建具、床材、ビニールクロス、住設機器など約1700点のアイテムがそろっている。長谷工コーポレーションが、マンションディベロッパーに対して「マンション仕様」の打ち合わせやプレゼンテーションをする場であるLIPS(リビング・イメージ・プレゼンテーション・スペース)。約30年前のオープン以来、改良・改善を重ねて作り上げた「マンション提案の場」だ。
LIPSには、76社のメーカーによる様々な「マンション製品」が展示されている。実物のキッチン、トイレ、バスなどのほか、外壁(タイル)のサンプル材も数十種類用意。マンション事業主と施工担当である長谷工との間で、展示されている様々な商品の中から一つひとつアイテムを決めていき、マンション事業主にとっての「最適物件」を決定する。
「提案主」である長谷工にとって、展示しているメーカー製品の品質確保は至上命題だ。LIPSに携わっているチームはエンジニアリング事業部だが、長谷工の様々な部署の横断的組織である「部材選定委員会」が、製品の検査や保証内容などを検証。また、デザイン性だけでなく、例えば角張ったハンドルドアがあった場合には、メーカーに対して安全性への配慮からその角を滑らかにするよう提案なども行う。そのほか、実際のマンションで使用した部材について、入居者からクレームなどが入った場合は、その原因究明と対策方法が分かるまでLIPSでの展示を取り止めるといった措置も行う。いわゆる「長谷工マンション」の一定の品質確保のために、最大限の注意を払うための取り組みだ。
実物を見て決める
また、LIPSの活用は、どのような販売価格(プロジェクト収支)にするかを、実物を見ながら決められるといったメリットもある。
LIPS内にはマンション住戸のモデルルームがあるが、いわゆる「基本仕様」の展示だ。事業主は、この基本仕様をベースに、グレードアップする場合はどのような商品を追加するかをLIPS内で決めることになるが、当然のことながら価格を抑えたマンションを供給したい事業主は基本仕様に近い内容を、商品スペックの差別化で勝負したい場合は数多くの追加アイテムを選ぶことになる。「高額系」から「割安感」まで、事業主が根幹として考えるマンション仕様にスムーズに対応できるようにした。
「次世代企画」提案も
また、近年では、マンションの基本躯体を重視する一般消費者も増えていることから、長谷工が開発した次世代型マンション企画「Be―Next」のモデルルームもこのほど用意した。「基本性能の充実」「可変性」「環境・防災対策」の3つをキーワードとした企画で、中でも「アウトフレーム工法」と、通常よりも小さい「扁平梁」の採用による開放感ある空間提供は大きな差別化となる。建築コストと土地代の高騰から、販売価格を抑えるために専有面積を縮小する事業主の動きもあるが、縮小したとしてもこの開放感があれば、十分に「差別化」として一般消費者に説明できる。100のプロジェクトがあれば、100通りのマンション供給ができる体制を整えている。
また、展示しているメーカーにとって、LIPSは「切磋琢磨」の場となっている。横に並べられた他社製品よりも劣っていれば、事業主から選ばれる可能性が低くなるからだ。メーカーが商品視察に来るケースも多くなっているという。
一般消費者のニーズの多様化が進み、更に「良質で安価なもの」などそのハードルも年々高くなっている。その声に応えるべく、供給者側には不断の努力が求められている。

























