国交省 災害時「行動計画」を策定 荒川の堤防決壊想定
住宅新報 2015年6月16日 号 2面

荒川下流タイムラインの意見交換の模様
国土交通省はこのほど、荒川の決壊を想定した災害時の行動計画表「荒川下流タイムライン」試行案を策定した。区をまたがる広域避難や鉄道の運行停止などを盛り込んだ本格的なタイムラインが作成されたのは、全国で初めて。これに伴い、太田昭宏国土交通大臣と地元自治体の区長らが意見交換を行った(写真)。 タイムラインとは災害発生を前提に、その備えを時間軸に沿って整理し文書化した行動計画表。災害時の救命と早期復旧が目的だ。米国ニュージャージー州で12年、洪水が起きた際に奏功した実例を踏まえて、国交省は14年4月に日本国内でのタイムラインの導入を決定。モデルとして荒川の右岸堤防の決壊を想定し、検討を経て15年5月に試行案を策定した。参画機関は近隣の北区、足立区、板橋区のほか東京都や警視庁、気象庁、東日本旅客鉄道をはじめとする鉄道各社、福祉施設など20機関。
対象地域である荒川右岸の志茂付近で氾濫した場合、被害想定は浸水面積約110平方キロメートル、浸水区域内人口約120万人、死者数(避難率40%)約1100人、孤立者数(同)最大約49万人とされる(内閣府試算)。下流の荒川区と台東区の一部、更に地下鉄17路線97駅も浸水。地下鉄を通じて千代田区にも被害が及び、「日本の中枢も浸水する恐れがある」(同省河川環境課)。
被害を最小限にとどめるため、タイムラインでは破堤の5日前を起点として計250項目以上を整理した。縦軸に時間、横軸に行動内容が示され、それぞれがいつ、どのような行動を取るべきかが分かる。例えば参画する3区の場合、3日前に休校・休園の検討を始め、大雨注意報が発令された2日前にはそれを決定。半日前から避難所の開設や避難勧告・指示、報道機関への協力要請などを行う、といった具合だ。
意見交換では、足立区の近藤やよい区長がこれまでの経験を踏まえて、「一区単位で避難勧告を発しても、実際の避難行動に結び付きにくい」と指摘。非常事態宣言などの形で、国が号令を発令してほしいと要望した。また、避難先をあらかじめ確保しておく重要性にも触れ、「当区には高台が少ないため逃げるに逃げられない。23区で連携を取る必要がある」と話した。
タイムラインは、この梅雨期から試行運用する。


























