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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第77回 住民主体の住宅地 日本型HOAを採用したまち

総合
  • 西浦亘太 大学院修士課程1年

    1 / 2西浦亘太 大学院修士課程1年

  • 美しい街並みを維持する「のぞみ野」

    2 / 2美しい街並みを維持する「のぞみ野」

 【学生の目】 

 1968年頃から供給が始まったマンションのストックは601万戸まで増加した(13年、国土交通省資料)。普及により区分所有者で構成する「管理組合」が定着し、マンション管理は管理組合が担うことが常識となった。

 一方、戸建て住宅地では町内会や自治会はあっても、管理組合をつくる例は少ない。兵庫県姫路市の「ブルームガーデンのぞみ野」は、居住者が主体的に住宅地を管理する仕組みとしてアメリカで普及するHOA(Homeowners association)を日本に合わせてアレンジした、日本型HOAを採用している。

 まず、区分所有法に基づいて管理組合を設置する。管理組合は全員参加で、住環境を長期安定的に維持できる。次に、道路や公園の管理を住民が担う。開発行為で開設する道路や公園は行政への移管が原則だが、画一的な基準のため、無機質な公園や直線の道路となる。ニーズに応じた管理が行き届かず、居住者の満足や誇りに結びつきにくい。他方、道路や公園を住民が所有すると負担が重いため、土地所有権は移管しつつ、日常管理は住民が行う。

 街の印象は、一つ目に、道路が広く感じる。通過交通が少なく、道路で遊ぶ子供が見られた。二つ目に、緑が多く、手入れも行き届いている。三つ目に、街と人、人と人の間に親近感がある。住宅地の中心にコミュニティハウスがあり、コミュニティマネージャーが駐在する。常に開放され、カフェのような親しみがある。

 街は上空が開け、住宅の素材、外壁、色に統一感がある。無電柱化のほかオープン外構(西浦亘太「不動産の不思議第61回」14年12月2日号)を採用する。工作物は道路境界線から0.7メートル以上後退することを義務付け、仕上げを工夫して道路と敷地の境界を消して、空間の一体感と広がりを創る。ルールに根拠を与えるために、地区計画のほか、景観協定を制定して景観形成指針を作っている。

 戸建て住宅の良さは個人の自由が利くことにある中で、あえて厳しいルールを設けて、私権を制限する。単一の不動産が持つ魅力だけではなく、複数の不動産が持つ魅力が相互に重なり合うことで一層美しい街並みや住宅地を創出できる。それを維持発展させるためにはルールや組織が必要で、のぞみ野はそれらに一体的に取り組んだ新しい事例である。 (西浦亘太 大学院1年)

 【教員のコメント】

 米国HOA制度を日本の法制度と姫路という土地に合わせて日本型にアレンジし、街の経営が持続可能となるために収入も得ています。魅力的なデザインと、法制度・経済・経営といった不動産学を駆使した仕組みです。

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