明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第75回 雨戸の多面的役割 伝統的建築手法を見直そう
住宅新報 2015年3月17日 号 4面
【学生の目】
雨戸には多くの機能がある。1つ目は、台風などの強風で窓ガラスや障子が破損するのを防ぐ。竜巻が襲来した際に、雨戸を閉めていなかった家ではある方角に面した窓ガラスがすべて割れてしまったが、雨戸を閉めていた家は雨戸に傷が付いただけで済んだ、という事例が報告されている。2つ目に、構造的に丈夫で、かつ内側からしか開錠できないため、防犯の効果がある。3つ目に、遮光性が高く、起床時までぐっすり眠ることができる。4つ目として、断熱材を充填することで断熱効果が期待できる。これらを踏まえると、雨戸は非常に機能的な建具といえる。
しかし、近年、雨戸をつける住宅が減少している。また、伝統的な雨戸ではなく、シャッター付きのサッシも多くなっている。なぜだろうか。
まず、サッシとガラスの強度が高くなっている。サッシの見込み厚が厚くなるとともに、2枚のガラスを一体化したペアガラスも一般化し、両者一体の堅固な建具が使われるようになったために、強風からサッシを保護する雨戸の機能が不要となった。しかし、強度が高い窓は価格が高いのが難点である。住宅工事費に占めるサッシ工事の割合は思いのほか高い。
シャッター付きが増えている理由として、まず、利便性の高さがある。ボタン操作でシャッターを閉めることができ、非常に便利である。次に、戸袋が不要で窓の位置の制約が少なくなる。さらに、シャッターの巻き取り部分で庇を兼ねることができる。しかし、シャッターは機能的な半面、外観が単調、無機質で、住宅にふさわしいデザイン性を感じないことが多い。
雨戸には物理的な機能のほか、居住者の住まい方や近隣との関係を示すヒューマンな側面がある。雨戸は自らの力で開けたり閉めたりするため、居住者の生活リズムを作り出すことができ、近隣の居住者に対して生活していることを知らせることができる。
建具として気候や屋外環境に対応し、防犯面において居住者に安心感を与える、さらに、生活のリズムを作り出し、近隣へのメッセージを発信するなど、雨戸のメリットはハードとソフトにわたって多面的だ。近年、日本は自然災害が多くなっている。環境配慮、超高齢社会の住まい方の視点からも、日本の伝統的な建築手法である雨戸の多面的役割を再評価しなくてはいけない。 (垣田将吾 不動産学部4年)
【教員のコメント】
外部建具の課題は費用の高さと断熱性の低さだ。後者を高めるためのペアガラス、二重サッシがさらに前者を高めるジレンマもある。大きな開口部を特徴とする日本の住宅建築に必然のアイテムとして雨戸を見る眼力が頼もしい。
























