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プレミアム会員限定安心・安全の建物を 改良続けるマンション 長谷工 指摘受け止め研究加速

住宅新報 2015年1月27日 号 2面

総合
  • 常松豪常務執行役員

    1 / 2常松豪常務執行役員

  • 長谷工研究所

    2 / 2長谷工研究所

したものはなく、そのほとんどが軽微な損傷。「それまでの取り組みは間違っていないと確信できた」と語る常松豪常務執行役員。技術推進部門を管轄する役員で、震災当時は構造設計室に在籍する42歳の設計担当者だった。

 同社の設計基本方針に「バランスの良い建物」「ねじれの少ない構造」「強度の高いフル鉄骨、補強筋の採用」などがあった。これらの取り組みが「倒壊ゼロ」につながったと分析する。

 ただ、当時の性能基準を確保したPC(工場生産)杭の被害はあった。建物が傾きジャッキアップするなどして補修したが、その後耐震性が向上したPC杭を開発するまで採用を全面ストップした。

「非構造壁」の改良

 軽微な損傷はあったものの、設計上の大きな方向性について問題ないと判断した同社。ただ、多少議論となったのは廊下側の非構造壁だった。

 地震でこの壁が損傷している事例はあった。ただ、「柱と梁を守ることができたので〝合格点〟の認識」(常松氏)という供給サイドの考えとは裏腹に、住民は「壊れている。早くどうにかしてくれ」という反応だった。供給側が、あの大きな揺れにも関わらず建物躯体の損傷がなかったこと、イコール「大丈夫」という認識に至る流れは自然だといえる。だが住民は、「日常」と異なる生活は受け入れがたいものだ。

 同社ではその声を真摯(し)に受け止めた。補修を進めると同時に、「スリット」を入れて壁を揺れから守り、大きく壊れないようにする研究を始めた。震災直後の3月からその実験に取り組み、1年後に最終的な開発へと至った。

 スリットの考えは震災前からもあったものだ。今回は、それまでと比べて更にその箇所を多くする「耐震スリット」の考えを導入した。また、同社では震災前から玄関枠を耐震化していたが、壁が壊れると枠も変形するため、その効果が薄いことを改めて知った。この教訓も、耐震スリットの取り組みを進めた理由の一つだ。そして、その後は軽量で地震時の変形に対する追従性に優れたALC(軽量気泡コンクリート)パネルの採用へと進んでいった。

「液状化対策」も注力

 地盤については、建物下のボーリング調査による取り組みを震災前から必ず行っていた。そして、震災でクローズアップされた「液状化」の取り組みにもその後着手した。当時は液状化に対する基準ははっきり定められていなかったが、参考図書を見ながら独自の取り組みを始めた。今では、「高強度の杭の採用」「敷地全体の対策」など、事業主の様々なニーズに対応できる工法を数パターン用意している。

「研究棟」で試行錯誤

 同社は1987年、耐久・安全性、居住性などの技術開発を目的として、神奈川県厚木市に「技術研究所」を設けた。98年から現在の埼玉県越谷市に移転(写真)しており、敷地面積は約2000坪。構造棟や環境実験棟を用意し、「より高い安心感、安全性のあるマンション」への研究を日々進めている。

 また、「既築マンションの補修」も今後の課題として挙げている。合意形成など難しい点もあるが、住みながら耐震補強ができる工法の開発など、ニーズがあればすぐに対応できる準備は整えている。

 「施工会社として、品質に対しては更に責任ある取り組みを増進していく」と常松氏は語る。現場職人を含めた意識改革や作業能力の向上のほか、個人の能力に関係なく均一化された商品の提供。「いい暮らしの創造」に向け、今後も試行錯誤を重ねていく方針だ。

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