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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 150 プレカットで品質安定 〝原寸大の模型づくり〟 功罪相半ばする加工

住宅新報 2014年11月25日 号 7面

連載: 知って得する建物の豆知識

総合
プレカット材

プレカット材

昔はすべて現場で作業

 昔の木造住宅の現場には〝下小屋〟と呼ばれる木材の加工場があり、ここで棟梁が木材に墨付けをしたり、継ぎ手や仕口と呼ばれるジョイント部の加工をしたりしていました。木材は棟梁(とうりょう)が問屋に出向き、仕入れた材が現場へ搬入されるだけで、加工はすべて下小屋で行われていました。

 しかし、高度成長期を迎え職人が不足すると、棟梁を長時間拘束する下小屋作業は機械化され、木材をあらかじめ加工して現場に納めるプレカット工法が浸透していきました。プレカット工法では、NCルーターを使った切削技術を利用し、棟梁が行っていた仕口や継ぎ手を短時間で正確につくることができます。

 当初は材木問屋がサービス的な扱いでプレカットを行っていましたが、最近では大規模なプレカット加工工場が各地にでき、木材加工を一手に引き受けています。

 一棟用の木材は図面に従って拾い出しが行われ、定尺へのカットやジョイント部の加工が自動的に行われます。現場へは邸別に加工された材が一式で届き、大工は図面に従って、木材を組み立てるだけです。仕口や継ぎ手、構造に関する知識はあまり必要ありません。大工の仕事は、原寸大の模型づくりのようなイメージです。

工期短縮、産廃減も

 経験則に基づいた昔の工法は、必ずしも力学的な合理性にかなったものばかりではありませんでした。現在のプレカット工法ではCADデータを引用してNC加工データを作成しますが、その段階で力学的、法規的整合性をチェックするようになっています。これにより、大工の技量や経験に関係なく、一定の品質の部材が提供されるようになりました。更に、工期短縮や現場の産廃削減などの効果もあります。

 2×4構造では、ネイルガン(釘打ち機)が使えれば「大工」と呼べるそうですが、木造軸組工法もそこに近づきつつあります。現在、建築される木造住宅の90%はプレカット工法を利用しています。木工事をはじめ外壁工事や設備工事、インテリア工事などすべての職種が、部品の組み付け作業に終始しているといっても過言ではない状況です。

技術継承の危機

 こうしてプレカット工法が大躍進し、一定の品質の住宅が得られるようになったわけですが、弊害も少なくありません。NCルーターは複雑な加工ができないため、仕口や継ぎ手も単純なものばかりが使われ、伝統技術の継承が難しくなっています。

 また、定尺で邸別に加工・搬入されるため、1箇所でも間違いがあると再発注となります。予定が大幅に遅延するか、現場で〝やっつけ〟で部材を継ぎ足すなどしてごまかすことになります。構造強度に影響の出る部位では、後々問題が顕在化する恐れがあります。

 更に、プレカット加工業者が木材の提供も行うようになり、大工の目利きや志向も反映されづらくなっています。伝統技術が危ぶまれる状況は、今後も続くと考えられます。

 (建築家・中村 義平二)

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