日本不動産研究所 全国の地価 ~その軌跡と変わる街 (25) 三重県伊勢市・賑わいが増す外宮 商業地は前年比8%上昇
住宅新報 2014年11月18日 号 16面
「せんぐう館」の開業
伊勢市にある伊勢神宮(神宮)の外宮では、参道沿いの店舗が徐々に増え、12年4月には外宮内に「せんぐう館」が開業するなど、賑わいが増している。参拝客数の推移をみると(グラフ参照)、45~65年頃までは内宮と外宮の参拝客数は拮抗しており、意外にも外宮の方が多かった年もある。当時の交通手段としては電車が多く駅に近い外宮の方がアクセスに勝ったためである。その後は車インフラの整備とともに内宮が優位となり、徐々にその差が開いていった。
直近の13年では、内宮が885万人で前年と比べ約6割増加、外宮は536万人で2倍以上増加し、外宮の参拝客数の増加率が大きいことがうかがえる。その理由として、正式な参拝方法(片参りでなく外宮から内宮の順で参拝)が認知されてきたことに加え、外宮参道の整備や「せんぐう館」の開業により魅力が増したことが挙げられる。
未利用地にホテルも
外宮参道は伊勢市駅から外宮表参道へと通じる石畳の参道である。伊勢市駅前では、県下最大規模であったジャスコが売り上げ不振により96年に閉館して以降、長らく未利用地であったが、13年夏に天然温泉付ホテル「伊勢神泉」や「伊勢器市」(複数の陶芸店のほか、地酒や名物の伊勢うどんも販売されている)が開業した。内宮の「おはらい町通り」と比較すると店舗数はまだ少ないものの、12年頃から飲食店が相次いで開業している。「せんぐう館」は、第一鳥居をくぐってすぐ左手にある式年遷宮の資料館で、映像や写真が多用され、休憩所からは風情ある勾玉(まがたま)池を望むことができる。
外宮参道の注目度が増したため、14年、外宮参道沿いに地価公示地点「伊勢5-2」(1月時点、1m2当たり13万円)が新設された。また、内宮の参道である「おはらい町通り」にある「伊勢5-3」は25万円で、前年比8.7%と大幅に上昇した。
三重県内の商業地の最高価格地は、近鉄四日市駅前の「四日市5-1」(名古屋に近いため県庁所在地の津市を上回る)で35万円、続いて津駅前の「津5-3」で25万4000円となっている。「伊勢5-3」の地価は「津5-3」に迫るものとなっており、内宮・「おはらい町」の活況を顕著に表している。
全国的にも「おはらい町」は町興しの成功例として商店街や地方自治体の模範となっているが、外宮参道についても更に賑わいが増し、かつてのように外宮の参拝客数が内宮に迫ることを期待したい。
(日本不動産研究所津支所、不動産鑑定士・塚田栄二郎)


























