市場透明化への課題 ~JLLグローバル不動産透明度調査結果から~ ▼下 両手仲介、どう改善するか
住宅新報 2014年10月28日 号 3面
連載: 市場透明化への課題

グローバル透明度インデックス 出所:JLL、ラサールインベストメントマネージメント
第3回目は日本の透明度改善のもう一つの課題である借地借家法や双方代理に代表される「伝統的商慣習」について詳しく見ていきたい。
定期借家の普及カギ
現在の借地借家法の下では、普通借家契約と定期借家契約があるが、日本においては現在ほとんどの賃貸借契約が普通借家契約となっている。一方、欧米を中心とした不動産透明度の高い国では定期借家契約が主流である。
普通借家契約で問題となるのは、2年もしくは3年の賃貸借期間が満了した場合に、契約が終了するのではなく、「更新」という扱いとなる点にある。つまり、契約期間満了時にオーナーが市場賃料水準に賃料改定をしようとした場合、定期借家であればいったん契約が終了するため、改定後の賃料で当事者間の合意がない限り、契約の継続はない。しかし普通借家の場合は改定賃料の合意がなく、争いとなった場合でも契約は継続するため、市場賃料水準に改定できる保証はないこととなる。これが、投資家にとっては投資期間内におけるキャッシュフロー予測の難易度を上げることにつながり、最終的な投資意思決定を行うことを困難にしている。
これを解決するには、日本においても定期借家契約の普及がカギであるといえる。
伝統的商慣習に関してもう一つの課題は、仲介時の双方代理が可能な点である。双方代理とは、1社の仲介業者が買主と売主双方の代理人として売買取引を行うことをいうが、不動産透明度の高い多くの市場においては利益相反が生じるとして禁止されている様態である。しかし日本においては可能であり、仲介業者としては双方から手数料を受け取ることができるメリットがあるため、依頼者の利益最大化よりむしろ、売買の成立を優先して取り組むことも起こりうるのが実情である。
成功報酬型はどうか
これは、仲介手数料が取引金額の一定割合になっていることが一つの要因と考えられる。例えば、売主の代理人として考えた場合、取引金額が多少下がっても手数料の減少は微々たるものであるため、売値を下げて成約を優先すると、少しでも高く売却したい売主の意向との一致は困難となる。
したがって一つの改善案としては、あらかじめ売主と決めた価格以上で売却できた場合に報酬が増額される成功報酬型にすることが考えられるのではないかと思料する。また最近では、ソニー不動産のように買主または売主のどちらかのみの代理人として業務を行う会社も現れてきており、この流れは今後更に進むことが期待される。
人口減少や高齢化社会に直面している日本においては、海外からの資金や人材を呼び込むことは重要な課題である。これに向けては個別企業の視点ではなく、日本の不動産市場全体の視点から各企業が積極的に情報開示や情報共有に取り組む必要がある。今後の透明度向上に向けて弊社も積極的に関与し、最大限に尽力していきたい。(JLLリサーチ事業部アソシエイトダイレクター 犬間由博)
























