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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第50回 集合住宅のエントランス 周辺と共生するデザインに

総合
  • 垣田将吾 不動産学部4年

    1 / 2垣田将吾 不動産学部4年

  • 動物の顔を思わせるエントランス

    2 / 2動物の顔を思わせるエントランス

 【学生の目】

 エントランスは建物の顔であり、そのあり方一つで、マンションのグレードが分かってしまうほど重要な部分である。実際に、植栽が綺麗で、風除室があり、重厚で豪華な造りのエントランスには、中に入らずして風格を感じるものだ。

 マンション投資家が既存の賃貸マンションを購入する際、初期投資としてエントランスの修繕にお金をかけることも少なくない。97年改正の共同住宅の共用廊下等の容積率不算入措置により共用部分の拡張が容易になったこともあるが、ポイントはやはりマンションの顔を新たにすることによる収益性の向上にある。

 エントランスは何もそのマンションに対してだけ影響するわけではない。アプローチ部分の設計に隙がなく、綺麗で、植栽の管理が行き届いているエントランスは、良質な街並形成にも一役買っている。逆に、植栽が放置されている、自転車が乱雑に置かれている、ごみ置き場が薄汚れていてゴミが散らかっている、また郵便受けの管理の状態が悪い(木下さわこ「不動産の不思議第9回」13年11月19日号)場合は、マンションの価値が下がってしまうのは当然のこと、街の価値も損なってしまう。これは管理不良不動産がもたらす、外部不経済効果である。

 そうした中、面白い建物を見つけた(写真)。入り口を口に見立て、上の窓2つが目のように見える。縦の壁面が耳にも見え、動物の顔をモチーフにしている。構造耐力的にこの形状にする必然性はないから、意図してこの意匠にしたものだ。

 テーマパークなどではありがちな構図だが、普通の住宅街でこのような建物を見たのは初めてで、目を奪われた。

 植栽や重厚な扉や間接照明などで高級感を演出しているわけではないが、ユーモアのあるつくりが微笑ましい日常生活を演出するのであれば、デザインが生み出す価値としてとても面白いと感じる。

 外構部は何もないに等しいが、道路から丸見えとなるこの建物自体がその街の個性となり得、それはそれで街並みの形成に一役買っている。将来の追加投資でアプローチ部分を整備する余地もあり、投資家の意識次第で地域の熟成に貢献することも可能だ。

 エントランスの整備では敷地内の収益性や快適性のみに力点をおくことなく、外部との接点として影響力の大きな場所だからこそ、周辺環境と共生する景観性も考慮すべきである。 (垣田将吾 不動産学部4年)

 【教員のコメント】

 デザインが不動産の価値を引き出すこともあれば、台無しとすることもあり得る。費用対効果もあって投資用不動産のデザインは全般的に保守的だが、時間の経過とともに価値を熟成する空間こそ本当にデザインされた不動産である。

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