住宅の窓回りといえば、今ではアルミサッシが当たり前です。日本で最初にアルミサッシが使われたのは、1932年に村野藤吾氏が設計した「近三ビル」(東京・日本橋)とされています。純粋なアルミサッシではなく、鋼製とアルミ製の複合上げ下げ窓(ギロチン窓)だったのですが、それまでの鋼製サッシ一辺倒のビル用建具に一石を投じた建物です。
52年、板曲げ成形法によるサッシが前川国男氏設計の日本相互銀行(現三井住友銀行)に採用されました。国産アルミサッシ採用ビルの第1号でしたが、現在の押出成形法とは異なり、鋼製サッシと同じ板曲げ成形法で、素材がアルミに代わっただけのものでした。
米国では戦後、航空機用のアルミが大量にだぶつき、インゴットの価格が下落したため、押出加工による成形品建材が出回るようになりました。
アルミサッシのつくり方は、まずインゴットをシリンダーに入れて片方からピストンで高い圧力をかけます。この圧力でインゴット自体が発熱し、非常に軟らかくなります。加圧ピストンの反対側には溝を加工した金型が取り付けられており、アルミはこの溝の形に押し出されます。
日本では、58年頃からこの技術を導入して製造が始まり、59年には国内初の既成アルミサッシが開発されました。65年に住宅用サッシが一般化し始め、70年頃にはほぼ100%の普及率になりました。62年のサッシの年間生産量は、スチールサッシが8万4000トンだったのに対して、アルミサッシは5000トンでしたが、アルミは年率平均62%(38~44年)という驚異的な成長を遂げます。73年にはスチールが11万8000トン、アルミ
が45万8000トンとなり、アルミはスチールの4倍近い生産量になっています。
耐食・施工性高く質感よし
アルミのメリットは、第一に気密性の高さです。寸法精度の高いアルミ押出形材を用いることで、隙間を非常に小さくできます。温湿度による寸法変化が大きくガタつきの発生する木製サッシや、錆の発生で立て付けが悪くなる鋼製サッシにはない特徴です。耐食性にも優れ、きめ細かな質感、軽量で施工性が高い点も普及が進んだ要因です。
一方、アルミの熱伝導率は非常に高く、冬期は結露が発生し、窓回りの腐朽が問題化しました。これを受けて、サッシを外側と内側の2つに分け、接合部に樹脂を入れて熱を遮断した「断熱サッシ」が開発されました。現在はこれがスタンダードな仕様になっています。また、インテリア性を考慮して室内側に木を使った「複合サッシ」も人気が高まっています。 (建築家・中村 義平二)























