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プレミアム会員限定明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第45回 増築時の法令順守 良好な住環境に必要な制限

総合
  • 渡辺継一郎 不動産学部2年

    1 / 2渡辺継一郎 不動産学部2年

  • 道路に接して建てられた増築部分

    2 / 2道路に接して建てられた増築部分

 【学生の目】

 住宅地には住宅の景色があり、商業地には商業の景色がある。戸建て住宅地では低層の建物を敷地に余裕を持たせて配置し、道路と建物、建物と隣の建物の間には間隔がある。商業地では逆に建物は中高層で、敷地いっぱいに配置する。それが住宅地の快適さや商業地の賑わいをつくる。

 千葉県のある戸建て住宅地を歩いて写真の建物に出会った私は、「不思議」だと思った。住宅地らしいゆとりを持った建物が並ぶ中で、道路いっぱいに建てられているからだ。

 道路と建物の関係では外壁後退の規定があるが、低層住居専用地域の一部で適用されるだけだ。道路斜線制限があるが、境界線いっぱいに建ててはいけないという規制ではない。建ぺい率制限は敷地内に一定割合の空地をとれば、建物はどこに配置してもかまわない。

 よく見ると、もともと道路から後退して建てていた戸建て住宅の道路と建物の間に車庫か倉庫を増築したようだ。住宅部分とは屋根の形状、構造、外壁の材料、色が違う。不思議に思ったのは増築部分だった。

 建ぺい率が気になったので概算すると58%だった。第一種低層住居専用地域内のこの土地の基準建ぺい率は50%だから、建ぺい率制限に違反していることが強く疑われる。違反建築物であれば、増築の建築確認申請も出していないことになる。

 建ぺい率制限は敷地のうち建物を配置してもよい広さの割合を規定するもの(建築基準法53条)で、残りの部分を空地にすることにより、通風や日照を確保できるようにするものだ。低層住居専用地域で求められる低層住宅の良好な環境のためには、特に重要な制限だ。

 増築の建築確認申請をしていない、建ぺい率制限に違反する増築をしたことの二つが重なったことが、私が不思議を感じた理由ようだ。建てられない広さの建物を建て、本人は利益があるかもしれないが、そのために住宅地らしい環境が悪化すると、周辺の不動産価格が下落する。やってはいけないことで利益を得、他人に不利益を与えるのは不当利得といえるのではないだろうか。

 正直者が損をする社会はよくない。このような違反を役所は強く取り締まること、また、住環境を守るための規則について全国民を教育すること、建設業者は違反建築物を建築しないこと、不動産業者は流通させないこと、銀行は融資をしないことをみんなで実行する必要がある。(渡辺継一郎 不動産学部2年)

 【教員のコメント】

 超高齢社会ではリバースモーゲージが不可欠となる。老後の生活費を住宅の資産価値を担保に前借りする。資産価値を守るには、順法は最低限の条件だ。ルール違反に対する目は今までと比較にならない程厳しくなろう。

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