高齢社会が本格化する今後、不動産業界にとっては住宅需要の減少という不安がつきまとう。そうした中、市場拡大が見込める高齢者住宅への関心は高いものの、資金やブランド力のある大手企業でも本格参入は一部にとどまる。高齢者住宅は不動産業の成長分野となるのだろうか。
後輩記者 先輩、取材先の不動産会社の社長が、本気で高齢者住宅事業を考えていると言っていました。地域密着で20年以上不動産業をやってきた会社なんですけどね。従来の売買・賃貸仲介や管理だけでは会社の先行きが不安になるようです。高齢者住宅はいくつかの不動産会社が取り組んでいましたよね。
先輩記者 そう。例えば、東京建物や東京建物不動産販売。東京建物が土地を取得して建設した建物を販売会社が一括借り上げし、運営やサービス提供は介護会社に委託している。大手ハウスメーカ―も首都圏を中心に積極的に始めている。
後輩 そうはいっても全体から見るとまだ一部の会社ですね。サービス付き高齢者向け住宅は既に14.5万戸も登録されているけれど(グラフ)、介護や医療系が大半で、不動産業者はかなり少ない。どうしてだろう。
先輩 やっぱり、未知の部分が多く、踏み出しにくいのかもしれない。高齢者住宅事業といっても、いろいろな関わり方がある。土地活用提案だったり、建物管理、自ら介護会社を立ち上げて運営したり。それぞれ、従来事業の延長線上の範囲でどう取り組むか、それとも新規事業として体制を整備するのか情報の仕入れ方も難しい。
後輩 中小規模の会社になると、決断が難しくなるのでしょうか。
先輩 取り組んでいる会社はあるよ。ただ、同じ賃貸住宅という用途でも、若い人を対象にしていた時と高齢者では業務に大きな違いがあるらしい。契約業務1つとっても若い人を対象とするときの3倍近く時間もかかるようだ。
後輩 それでも挑戦しているんですね。
先輩 始めるには、やっぱりかなりの覚悟が必要だったと言っていた。途中で投げ出すわけにもいかないし。それでも試行錯誤しながら、収益が出る事業まで育てている会社もある。こういった新たな分野に取り組むことで、自治体とのパイプができたり、今まで想像していなかったメリットもあるようだ。
後輩 新たな成長分野を求めるという意味では、今、相続関連にも関心は高いようですね。
先輩 そうだね。高齢者住宅にしても相続にしても、新たに収益を生む事業として育てていくには専門知識を学ぶことは欠かせないね。
後輩 高齢者といえば、今年はすべての団塊世代が65歳以上になります。人口のボリュームゾーンですからね。業界も更に高齢者住宅に注目しますね。
先輩 でも、年齢的には65歳以上になったとしても、まだ若い。今、入居している高齢者とは、かなりイメージが違うね。食事にしても音楽にしても、好みは多様だ。高齢期の過ごし方も自分自身でデザインする意識は高い。「高齢者」として、ひとくくりにしないことが大切だろう。高齢者住宅を事業とする場合にも、こういうものだと決めつけない方がいいかも。
後輩 なるほど。志向が多様化しているからこそ、医療や介護、不動産業など、いろいろな業界から参入した高齢者住宅があった方がこれからはいいのかもしれませんね。























