ワンルーム投資が再燃 「新規層」も動き出す 〝アベノミクス〟に反応
住宅新報 2014年2月25日 号 18面
13年のマンション投資市場は、安倍政権発足以来にわかに活気づいた。まず経済レベルで言うと、アベノミクス第一の矢による大胆な金融緩和によりにわかに予想インフレ率が上昇に転じ始めた。予想インフレ率が上がるということは、実質金利の低下を意味することになる。実質金利が下がると相対的にお金の価値は下がるので、個人であればそのお金が投資に向き、企業であれば設備投資に向くという構図が形成される。
(オフィス野中代表取締役/住宅コンサルタント 野中清志)
不動産業界において、最も敏感に反応したのがオフィスビル市場である。東京都心のAクラスビルが主な対象であったが、企業業績回復と共に都心のビルの空室率が低下し、それに伴いビルの賃料相場も上昇に転じ始めた。
地価上昇で価格上昇
収益還元法による考えで賃料相場が上昇すれば、そのビルの底地の価値が上昇する。底地が上昇すれば周辺の地価にも影響を与え、周辺の地価が上昇すると周辺の既存の中古ビルおよび中古マンションなどにも徐々に価格上昇の影響が及ぶことになる。
状況の変化は、首都圏を中心とする大都市圏の個人投資家向けのワンルームマンション市場にも見られた。多くの層がいち早くワンルームマンション市場に返り咲き、または登場したのである。
次々に動き出す
個人の投資家において最も敏感に素早く反応した層は「マーケットリーダー層」である。この層は経済・金融動向などに精通した金融外資および外資系会社勤務者などであるが、アベノミクスによりいち早くアクションを起こした層だ。
次に反応したのがいわゆる「リピーター層」である。この層は08年のリーマンショック以降、不動産の底値を探っているうちに購入チャンスを逃したが、再度底値に近いと確認し、不動産投資に挑戦し始めた層がこれにあたる。
インフレに備える
そして、このような敏感に反応した層の動きを見て動き出したのが、従来は資産の大半が現金預金であるものの、インフレに備えて初めて実物資産への投資を考え始めた、いわゆる「新規層」である。
期待度が一気に加速
13年はこのように経済・不動産業界、個人投資家層など一連の大きな流れがあった年である。
東京が新たな都市へ
この年は東京オリンピック招致が決定し、リニア中央新幹線の着工計画の決定、更に小泉政権から引き継がれた都心再生緊急整備地域、及びアベノミクスによる国際戦略特区構想、そしてアジアヘッドクォーター構想など様々な開発構想が有機的に展開され、東京が新しい国際都市として変貌を開始し始め、不動産投資に対する期待度が一気に加速した年でもあった。
一方、アベノミクスで日経平均株価は9000円台から1万6000円台へとかなり上昇したが、13年末の外国人投資家は約16兆円の買い越し、一方日本人は8兆円の売り越しとなった。モノを言う外国人投資家は配当性向を求める傾向にあり、日本企業も賃金はそう簡単には上げにくいという事情も垣間見える。
そのようなことも、将来の自己防衛として個人のマンション投資意欲をかき立てる影の要因となっているかもしれない。
タワーの資産性に注目
次に現場の様子を見てみよう。私は13年にも東京圏や中部、関西圏を中心として数多くのマンション投資セミナーで講演させて頂いたが、その中で従来と違う流れについて気が付いた点がいくつかある。
従来は「マンション投資」というとワンルームマンション・コンパクトマンションが主流であったが、13年は超高層(タワー)マンションを投資対象として見る層が大幅に増えた。
一例を挙げると、昨年大京とオリックス不動産が開発した大阪・心斎橋駅近くのタワーマンション「大阪ひびきの街ザ・サンクタスタワー」であるが、総戸数874戸のこの物件は購入者の何割かの方が2戸買いされていた。1戸は居住用、もう1戸は投資用(賃貸用)として購入しているのである。富裕層を中心に都心型タワーマンションの資産性への関心の高まりがうかがえる事例でもある。
東京でも、三井不動産、東急不動産など大手ディベロッパーが都心型タワーマンションを発売しているが、投資として購入している人が増えている。
外国人購入者が増加 円安がマインドを後押し
また円安を背景に、外国人の購入が増えているのも特徴だ。
東京の1億円のマンションを買う場合、1ドル=80円とすると125万ドルが必要だが、1ドル=100円となると100万ドルで買えることになる。つまり定価の2割引きで買えることになるのだ。2割引きで買えるということは、ほぼ原価で買えるという見方もできる。
仮に投資利回りが年5%とすると、1億円のマンションだと家賃収入が年500万円となる。500万円の賃料の取れるマンションが2割引きの8000万円だとすれば、投資利回りは5%から6.25%に上がることを意味する。外国人投資家にとって、都心型のタワーマンションは投資物件として魅力的になってきているようだ。
「国際化」する市場
以前私は内需の3本柱として医療・教育・住宅を位置づけていたが、不動産、特に首都圏の商業地域における好立地のマンションはにわかに「国際商品化」し、不動産業界も「内外需産業化」しつつあると考える。
2027年のリニア中央新幹線開通により東京首都圏と名古屋中部経済圏が融合するのに先駆け、東京・中部・関西圏などの好立地においてはシンガポール、台北などを含めた国際不動産投資市場の中に組み込まれつつあると言える。このように不動産企業、不動産投資市場、投資家の層も含めた不動産投資市場全体において、アジア商圏の中でボーダーレス化が加速した年と言えるのではないか。

























