相続税節税対策を考える(つづき) 住宅取得等資金贈与の非課税 14年12月末に適用期限
住宅新報 2014年2月25日 号 17面
住宅を取得・新築するための資金を直系尊属から贈与された場合に贈与税が一定金額まで非課税となる制度が表の通り14年末で適用期限が切れる(受贈者や住宅などに関する要件は表参照)。
財産を無税で移転
この非課税制度は、親が子や孫に住宅資金を贈与することで相続財産を無税で減らすことができる点がポイント。相続税には相続開始前3年以内のこうした贈与は、相続財産として計算される制度があるが、非課税制度は相続開始前3年以内の贈与の相続財産への加算は行われないため、確実に相続税節税につながる。この制度は来年の税制改正で延長されない限り、利用するかどうか決断をするのはこの1年以内ということだ。
なお、14年度税制改正では、耐震基準を満たさない住宅を取得し居住するまでに耐震改修を行うなど一定の要件を満たす場合にも、上記の特例が受けられるようになる。
コンパクトシティ推進 事業用買換え特例拡充
事業用の買換え特例で10年超保有資産の買換え以外のパターンの適用期限が3年延長されるほか、一部買換えパターンが拡充される。具体的には、都市再生特別措置法の改正を前提に、都市機能誘導区域(仮称)以外の地域内にある土地等、建物等又は構築物から都市機能誘導区域内にある土地等、建物等、構築物又は機械装置で、認定区域整備事業計画(仮称)に記載された誘導施設(仮称)において行われる事業の用に供されるものへの買換えが適用対象になる。所得税についても同様だ。
この背景には、次のような政府サイドの認識があった。(1)地方都市では今後、人口が急速に減少することにより、拡大した市街地に住民が点在して居住することになり、生活機能の低下、地域経済・活力の衰退の恐れがある。(2)大都市でも国際企業の立地が進まないなど、国際競争力低下の恐れや、今後、郊外部において高齢者数の増加が見込まれ、増加に対応した効率的な医療・福祉サービスの提供が困難になる恐れがある。
このため、都市再興の実現に向けて都市機能(医療、福祉、商業等)の計画的な配置等を推進することを狙いとして、支援制度を立ち上げることになった(たとえば13年6月14日閣議決定の「日本再興戦略」)。
税制を支える「都市再生特別措置法」の改正が成立し、制度全体が稼働するのは早くても今年後半になるとみられるが、これは大都市のみならず地方都市の市街地活性化に絡んで、不動産の活用や収益力アップの新たなチャンスを生む可能性のある政策といえる。不動産投資の観点では注目しておきたいところだ。
相続財産譲渡の取得費加算額 対応相当額に限定へ
相続財産を売却するときに活用されるのが「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」である。これは相続税の申告期限の翌日から3年以内に相続財産を売却すれば、支払っていた相続税の一部を売却した相続財産の取得費に加算して結果的に譲渡益を減らすことができる制度だ。
現行では相続した土地を譲渡した場合、譲渡した土地に対応する相続税相当額だけではなく、ほかの相続した土地に対応する相続税相当額の取得費への加算も可能になっている。これが15年1月以降の相続した土地を譲渡する場合から規制される。具体的には、取得費に加算する金額をその譲渡した土地等に対応する相続税相当額に限られることになる。
財産を選別する際に、相続した土地で現金化を急ぐべきものがあるなら、早めに売却することも検討すべきだ。改正前の特例を適用することで、相続した土地の売却に際して手取り資金を多くできるため、資産組換えにも有利になるからだ。
小規模宅地の評価減制度 居住用宅地、330m2まで対象に 15年から節税提案に変化も
小規模宅地の評価減制度とは、原則的には相続人が居住や事業を継続することを前提に、被相続人の自宅敷地や事業用地を相続した場合、一定面積までの敷地の相続税の課税対象となる評価額について路線価等の評価額の一定割合を減額するという制度だ。土地の用途により対象となる面積と減額割合は異なる。現行では表1のようになっている。
評価減の幅は15年から一部改正され、特定事業用宅地は400m2の部分まで80%、特定居住用宅地は330m2(改正前240m2)の部分まで80%、賃貸住宅の敷地など貸付事業用宅地は200m2の部分まで50%。小規模宅地の評価減制度を効果的に利用するには、ポイントは次の3つだ。
3つのポイント
(1)単位面積当たりの評価額の高い土地を選択すること
(2)減額対象面積が大きくとれる土地を選択すること
(3)減額割合の大きな用途の土地を選択すること
この3つのポイント踏まえ、節税効果を最大限引き出せる土地を選択しよう。
たとえば郊外の貸付事業用地1億円(400m2、路線価1m2当たり25万円)と都心立地の1億円の貸付事業用地(200m2、路線価1m2当たり50万円)において、貸付事業用地として50%減の適用を受ける場合を比較する。郊外は200m2分に当たる5000万円の50%減額で減額は2500万円。これに対し、都心立地の土地は200m2分全部に当たる1億円の50%となり減額は5000万円となる。
ところが郊外の土地が実家の敷地だとしたら、240m2まで80%の減額が望める。金額にして4800万円。この段階では、まだ都心立地の不動産貸付事業用地を選択したほうがお得だ。
これが15年以降の相続の場合には、居住用の対象面積が330m2まで拡大されるため、減額できる金額は6600万円。都心立地の土地を選択するよりも、郊外の実家の敷地を選択したほうが有利だ。すなわち税制改正の施行により、相続税節税の有利不利の状況は変わる。
このため、漫然と都心立地の貸付事業用地を選んでしまうと、1600万円分の課税対象にかかる相続税を多く払う羽目になるわけだ。
簡単でない還付請求
なお、小規模宅地の選択は「後で税務署に還付請求できるのではないか」と考える人がいるかもしれない。ところがそう簡単ではない。当初の申告を直す「更正の請求」をするには、申告書に記載の課税標準等や税額等の計算が、(1)法律の規定に従っていなかったこと、(2)当該計算に誤りがあったことが大前提。このため最初の申告で適法に小規模宅地の評価減制度の対象土地を選択していると、後で税務署に更正の請求をしても、認めてくれないのだ。この点は強調しておく。

























