明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第20回 街中で目立つ自販機 環境、景観に配慮して設置を
住宅新報 2014年2月11日 号 3面
【学生の目】
日本の街では、自動販売機(自販機)を当たり前のように見かける。先日、浦安市を歩いている時も自販機を多く見かけた。夏期研修に行った英国では、市中で自販機を見ることはなかった。なぜ日本で多いのだろうか。
日本自動販売機工業会によると、日本初の自販機はタバコなどの箱入り商品を販売するために明治21年に設置された。2011年末時点の自販機普及台数は508万台である。世界一は米国の691万台であるが、人口や国土面積を勘案すると日本が世界一の普及率と言える。
自販機が随所にあると、住民や旅行者には便利である。人件費不要で24時間売り上げが見込める点も、土地所有者には魅力だ。しかし、街並み景観の観点からは、自販機の無造作な設置はとても疑問だ。
設置台数増加には、税制のいたずらも影響している。居住用アパート等の賃貸不動産を購入、建築して賃貸経営を始める場合、自販機を設置して、建築費にかかる消費税のほとんどを還付してもらう「節税」方法が注目されたことがある。10(平成22)年度の見直し後は封印されたが、自販機の設置が節税の手段に用いられ、アパートのエントランスや軒先に必要以上に自販機が設置された。
自動販売機の多さに落胆しながら歩き続けて面白い発見をした。奥行きを短くした薄型自販機(写真)や、太陽光パネルを取り付けたエコ自販機がある。薄型は建物などに取り込み景観配慮型として上品に設置することも容易そうだし、東日本大震災後に節電に反すると避難されたことを考えれば、エコ自販機は環境配慮型に進化している。森を守る自販機は、売り上げの一部を森林保全の支援に充てる。街並みとの調和について幾つかの事業者は、「景観対応推奨カラー」を設定して派手な色使いを抑え、風致地区、住宅地区、オフィス地区などの景観と調和を図っている。
商業施設を利用できる利便性は、住宅地の地価にプラスに影響する。自販機を商業施設ととらえてその利便性を認めるとしても、現況では街並みに与える影響はマイナスの方が大きいと感じる。一方で自販機の進化も顕著だ。設置者の意識改革、行政の適切な関与をオーガナイズし、温かみがあり景観に良い影響を与える自販機の設置と利用の仕組みをつくることを提案したい。 (冨山大貴 不動産学部4年)
【教員のコメント】
顧客が道路から利用しやすいよう設置された道端の自販機は、設置者にとって高い効率性をもたらす一方、内部経済の追求は時として外部不経済をもたらす。かつて問題となった工場の公害はその例だが、今ではほぼ克服している。次世代都市を実現するために、道端自販機の外部不経済の認知と克服を進めたい。




























