政策で「民」をバックアップ 地方から日本を活性化! 国家戦略特区でまちが変わる
住宅新報 2014年1月7日 号 19面
地方から日本を活性化! 「スタートアップ都市推進協」発足
14年の幕が上がった。昨年は東京オリンピックの開催決定、株価のV字回復など明るい話題が多い1年だった。14年もこの勢いを期待したいものだが、カギを握る「民の力」を引き出すには、政と官の力強いバックアップが必要だ。今こそ、〝オールジャパン〟の取り組みが期待される。
地方における起業支援推進により、日本全体の経済活性化を目的とした「スタートアップ都市推進協議会」が、13年12月23日に発足した。東京・麹町のグロービズ経営大学院東京校で設立総会が開かれ、参加自治体の首長が一堂に会し今後の方針などを決定した。会長に就任した福岡市の高島宗一郎市長は、「これだけのメンバーが集まれば、日本を変えることができると思う。新しい価値、アッと驚く価値を提供できる会社を支援したい。国によるトップダウン、そして地方におけるボトムアップの取り組みで、日本の景色を変えていく」と抱負を語った。
協議会には、三重県、広島県、佐賀県、千葉市、横須賀市、浜松市、奈良市、福岡市の3県5市が参画している。
先進的自治体が連携
今回の協議会は、「起業」や「新事業」を「スタートアップ」と名付け、スタートアップ推進に先進的な取り組みを見せる自治体が、それぞれの個性を生かしたロールモデルとなり、経済関係団体と連携していくことなどを目指したもの。12年に「地域発のイノベーション」を目的に発足した「G1首長ネットワーク」の活動の一環だ。「日本全体を、チャレンジすることが評価される国に変えていくことを目指す」としている。
「起業」については東京エリアに偏っていることから、そのすそ野を地域エリアにも広げることで、日本全体による「経済成長、雇用創出効果」をもたらす考えだ。各自治体が一丸となって、起業の魅力などの情報発信を高めていく。
横のつながり強化
協議会の14年度の主な活動内容としては、「各会員間の情報共有」「国への提言活動」「小中高校生・大学生向けチャレンジマインド醸成教育」「マッチング事業」を決定した。
今回参画した自治体は、既にスタートアップ支援については独自の政策展開を実施しており、今後は横のつながりを高めていくことで更なる実効性確保の路線にシフトする。「各都市間の連携と共に、行政だけではできないことを民間とのコラボレーションにより実現したい」(熊谷千葉市長)としている。国への政策提言では、国家戦略特区制度などの活用や規制緩和、税制や人材確保を中心としたスタートアップ起業への支援などを提言する。
学生向けの教育は、起業の魅力・醍醐味を実際の成功者が伝えることで実施していく。「これまでも起業支援の施策は実施してきた。ただ、そこに至るまでの人材が育っていない問題がある。起業の夢を多くの若者に知ってもらうことで、起業予備軍を増やしたい」(高島福岡市長)考えだ。マッチング事業については、経済同友会が全面的に支援する。設立総会に参加した経済同友会ベンチャー創造委員会の堀義人委員長は、「経済同友会と起業家とのマッチングのほか、11月には大企業の経営者と起業家が一堂に会してのマッチング交流会を実施する予定だ。都市の動きが民間を巻き込み、中央省庁そして政府を巻き込んだ大きな流れになればと思う」と語った。
国も応援へ
また、中小企業庁の北川慎介長官も設立総会に参加し、「それぞれの自治体が積極的に取り組み、連携していくことは素晴らしい取り組みだ。国も応援していく」と話した。
協議会の会長に就任した高島福岡市長は、地域の不動産事業者の役割について、「インキュベート施設には、皆が集まって交流が持てるカフェが設置されるなど、付加価値のある物件が多い。また、海外の起業家から日本が魅力だと感じていただけるよう、生活面、住宅面は非常に重要になる。それらの方面での活躍を期待したい」と語った。
スタートアップ都市推進協議会・役員一覧
会長=高島宗一郎・福岡市長▽副会長=湯崎英彦・広島県知事、吉田雄人・横須賀市長▽幹事=鈴木英敬・三重県知事、熊谷俊人・千葉市長、鈴木康友・浜松市長、仲川げん・奈良市長▽監査役=古川康・佐賀県知事
外国人を取り込め! 世界で1番のビジネス都市へ 国家戦略特区でまちが変わる
国が定めた区域において、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定める国家戦力特区法案が、昨年の臨時国会で成立。経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化すると共に、国際的な経済活動の拠点の形成を促進するための法律だ。内閣府に国際戦略特別区域諮問会議を設置し、国家戦略特区を指定すると共に、特区ごとの区域方針を決定する。安倍政権は、「日本を世界で一番ビジネスのしやすい国にする」としており、大胆な規制改革が行われることになる。
様々な規制緩和
国家戦略特区には、「農業」や「教育」など様々な分野があるが、やはり注目は、「都市再生・まちづくり」だ。
昨年10月に日本経済再生本部が決定した「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」では、都市再生・まちづくりの特区内での規制改革として、(1)都心居住促進のための容積率・用途等土地利用規制の見直し、(2)エリアマネジメントの民間開放(都市機能の高度化等を図るための道路の占用基準の緩和)、(3)滞在施設の旅館業法の適用除外――が挙げられている。
都心の容積率を大胆に緩和して、超高層ビルを建設。その中にオフィス、大規模商業施設、そしてマンションを投入。職住近接を積極的に進める狙いだ。ただ、実際にこうしたマンションに住めるのは高所得者層か外国人となるだろう。
また、都市における国際的なイベントの実施やオープンカフェの設置など、道路空間の有効利用を行えるよう、道路管理者が特区計画区域内で道路の占用を許可できるよう基準の緩和を行う。
20年に行われる東京オリンピックの開催により、今後我が国に居住・滞在する外国人が急増することが見込まれる。このため、こうした外国人滞在ニーズに対応する一定の賃貸借型の滞在施設について、30日未満の利用だと旅館業法が適用されるため登録などが必要となるが、この規制を緩和し旅館業法の適用を除外する方針だ。
共通のキーワード
こうして見ると、都市再生・まちづくりの中に共通の言葉が浮かび上がる。それは、「国際化」「外国人」だ。
これは、都市再生・まちづくりに限ることではない。「医療」の分野では、国際医療拠点における外国医師の診察、外国看護師の業務解禁がうたわれると共に、病床規制特例による病床の新設・増床、保険外併用療養の拡充など、日本に居住・滞在する外国人をターゲットにする政策が盛り込まれている。
東京の特区提案
こうした構想を取り込み、国家戦略特区の在り方を討議していた国家戦略特区ワーキンググループ(WG)に提案したのが東京都だ。提案名も「世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり特区」。「外国企業が日本企業とビジネスしやすい環境づくり」「24時間活動する国際都市としての環境整備」「外国人が暮らしやすい都市づくり」を柱にしている。元々、「アジアヘッドクォーター特区」として、知事本局が申請したものを今回の国家戦略特区法創設の動きに合わせ、「バージョンアップ」(同局)したものだ。
五輪を見すえ整備
パテントボックス税制(特許などの知的財産を活用して得た所得に対する法人税の軽減)の導入、ビジネスパーソンを対象とする所得税制の見直しといった税制特例措置の導入。現在、試験的に行われている六本木~渋谷間の都営バス終夜運行や、東京オリンピックを見据えた環境整備、カジノに係る法整備などの環境整備。インターナショナルスクールの充実や外国人向け医療環境の充実などが盛り込まれている。
プロジェクト例は、創薬などライフサイエンス関連の国際ビジネスプラットフォーム・(BP<以下同>日本橋・東京駅前)、海外企業ベンチャー創業支援のBP(大丸有・日比谷)、コンテンツクリエイティブ産業の集積成長を促すBP(渋谷)、グローバルビジネス・生活プラットフォーム(六本木―虎ノ門)、「ク―ルジャパン」を世界へ発信する産業の戦略拠点となる羽田グローバルアライアンスセンターなど。
このほか、海外発行キャッシュカードで利用可能なATMの拡充や外国人の短期滞在促進に向けた環境整備などを挙げている。
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訪日外国人が1000万人を超えた13年を受け、国交省、観光庁では、今年以降、年間2000万人の来訪を目標に外国人誘致施策を掲げている。「クールジャパン」の代表でもある、我々一人ひとりが「おもてなし」を考える時代なのかもしれない。





























