勢い増す1年に 14年業界展望 注目集まる中古市場 流通活性化へ本格始動
住宅新報 2014年1月7日 号 1面

住宅・不動産業界にとって13年は明るい1年となった。14年もその勢いの継続が望まれるが、そのためには業界全体が「不断の努力」をしていく必要がある(都庁から東京スカイツリー方面を望む)
過去最高の景気指数
帝国データバンクが昨年12月に発表した景況調査によると、11月の景気動向指数(0~100、50が判断の分かれ目)は48.3となり、リーマンショック前の06年3月(47.9)を上回る結果となった。02年5月の調査開始以来過去最高の数値で、不動産業単独で見た指数も49.5となり高水準を維持。今後についても、「5兆円規模の経済対策の本格化」「設備投資の増加や賃上げ期待」「東京オリンピック関連の事業開始」「政府の財政再建への取り組みの進展」といったことから、国内景気の上昇は継続すると見ている。
14年は、業界全体がこの流れにうまく乗れる1年になりそうだ。新築マンション(首都圏)の供給戸数については、6年ぶりの高水準を示した13年と同等のボリュームが出ると不動産経済研究所では予想。中古マンションの成約件数は、昨年11月時点において15カ月連続で前年同月を上回っており(東日本不動産流通機構調べ)、当面この基調が続くとの見方が強い。
ビル市況についても、東京のAグレードビル(基準=『1990年以降竣工、20階建て以上、延べ床面積3万m2以上、基準階面積1000m2以上』を満たすビル。所在地は千代田、中央、港、新宿、渋谷エリア)を中心に賃料は上昇傾向が続いており、総合不動産サービスのジョーンズラングラサールの予測では、14年のオフィス賃料は10%上昇(Aグレード)するとの見通しだ。
政策の具体化へ
13年の住宅・不動産業界に吹いた「追い風」は14年も継続することが予想されるが、中でも注目されるのは「中古市場」だ。
昨年12月24日に閣議決定した税制改正大綱には、中古流通活性化に向けた支援がこれまで以上の内容で盛り込まれた。また、14年度予算編成でも、前年と比べて4倍増となる42億円が「中古住宅流通・リフォーム促進策」として計上された。昨年6月に政府が発表した日本再興戦略の中に、「10年時点で10兆円の市場規模を、10年後の20年には20兆円へと拡大させること」と記されているが、それを実効性のあるものとすべく、具体的政策として落とし込んだのが今回の税制改正大綱であり予算編成だ。国交省が、いよいよ〝本腰〟を入れ始めたと言える。
中古住宅市場をとらえるうえで、外すことのできないキーワードが「若年層の所得の伸び悩み」だ。昨年7月に発表された「国土交通白書」に、今の住宅取得者層、もしくは今後の住宅取得者層の主力となる世代の低迷した所得環境が深刻なものとして記されている。
経済成長、ほぼ実感なし
白書によれば、第1次ベビーブーム世代(1947~49年生まれ)が、20~30代に経験した経済成長率の平均は6.59%。一方、現在40歳前後の第2次ベビーブーム世代(71~74年生まれ)が、同じく20~30代に経験した経済成長率はわずか0.83%。社会に出てからというもの、今の40歳世代はほとんど経済成長を実感できていない状況が見て取れる。
また、40歳未満の住宅取得率について83年時と08年時を比較した場合、83年時の40歳未満の住宅取得率は42.2%だが、08年は28.4%だ。住宅取得のニーズは今でも約8割の水準があり、昔と比べてそれほど変わっていないことを考えると、それを阻む何らかの要因がある。国税庁の調査では、97年の30代前半の平均年収は513万円だったが、15年後の12年は431万円に低下。30代後半については、同じ期間の比較で589万円から498万円に下がっている。彼らを取り巻く厳しい所得環境こそが、住宅購入を阻む大きな要因だと言える。
厳しい世代に対し…
そんな中、これらの層に対して「満足できる住環境」を提供できる1つの大きな手段とされているのが「中古住宅」。国交省は数年前から流通活性化策に取り組んできたが、それが形となり、民間を巻き込んだ大きな渦となって本格化していくことが予想される。
質の確保も
中古住宅の最大の魅力は「価格の割安さ」と言えよう。13年第3四半期(7~9月)の首都圏における中古マンション価格は平均2598万円(東日本不動産流通機構調べ)。4000万円台後半の新築マンションと比べると、魅力的な価格として映る。また、新築を取り巻く環境は「資材価格の上昇」「用地取得競争の激化」「職人不足による人件費の上昇」などが重なり、今後の価格上昇は確実な状況だ。
活性化に大切なこと
しかし、単に割安なだけでは「中古流通活性化」は実現しないだろう。中古住宅を敬遠する理由として挙げられるのが、「耐震性や断熱性など品質への心配」「隠れた不具合(瑕疵)への心配」「見た目に対する不満」などだ。今後、中古住宅の価格水準でしか購入できない層が多くなるとしても、「安かろう、悪かろう」の中古住宅が選択されることは考えにくい。
たとえ住宅購入意欲があっても、住宅に対して何らかの不安要素があるならば、購入をあきらめて、そのまま賃貸住宅などで過ごすことが考えられるからだ。流通活性化は、これらの「中古住宅の敬遠理由」の解決があって初めて実現すると言える。
官民一体の取り組み
流通活性化に向け、官民一体の取り組みが進んでいる。
国交省のインスペクションに関するガイドラインに準拠した内容で、昨年11月から開催された「既存住宅インスペクション講習」には、定員を上回る申し込みがあった。また、中古住宅の瑕疵保険については、「少額短期タイプ」といった使いやすい商品もリリースされた。更に、こうした瑕疵保証については、大手流通会社を中心に独自サービスとして展開され始めており、中古住宅を検討するエンドユーザーに対して「品質」と「安心感」を提供する流れが大きなものになりつつある。
そして、住宅履歴情報の蓄積も本格的に進められる予定だ。一部流通会社では既に取り組まれているが、国交省ではその情報も含め、住宅・不動産に関する様々な情報の一元管理システムを数年後には構築したいと検討している。
住宅業界の潮目は大きく変わりつつある。「中古」に目が向く世の中になればなるほど、更に良質な中古住宅が増える好循環となる。
14年は、これまで蒔(ま)いてきた〝種〟が芽を出す年になるだろう。中古住宅業界にとっては、大きなターニングポイントとなる。 (福島康二)






















