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スタンダード会員限定全国住まい・地元 再発見 一般財団法人日本不動産研究所 (24) 滋賀県・草津市の街を流れる公園づくり 旧草津川を琵琶湖と結ぶ緑軸に

住宅新報 2013年11月12日 号 14面

連載: 全国 住まい・地元 再発見

総合
「緑の軸」として整備された旧草津川(草津市提供)

「緑の軸」として整備された旧草津川(草津市提供)

天井川の歴史

 JR草津駅付近から琵琶湖方向に緑の帯が横たわっている(写真参照)。天井川として名高い旧草津川で、幅は広いところで110メートル、その長さは7キロに及んでいる。旧草津川の天井川化が顕著となったのは江戸時代中頃からとされている。もともと流路が短いため、雨などによって大量の土砂が流れ込むと急激な河床の上昇をもたらし、少量の降雨でも流域に洪水の被害をもたらしがちであった。そこで、河床に堆積した土砂を掘り下げ、これを川の両岸に積み重ねた結果、堤はどんどん高くなり、高いところでは9メートルの高さに達している。川向こうの街との往来のため1886年に隧道(草津川マンポ)が建設され、その後、JR東海道本線や国道1号もこの「川」の下をくぐっている。

 昭和期以降も大雨や台風により幾度となく洪水被害が発生したことから、1971年に琵琶湖総合開発計画の中小河川改修事業に採択され、平地河川化計画が始まり、02年に草津川放水路(新草津川)に通水が開始されて旧草津川は廃川となった。

草津川跡地利用基本計画

 草津川跡地は、市街地中心部から田園部を経て琵琶湖に至る広大な空間。廃川と前後して跡地利用計画の取り組みが進められ、検討成果は11年の「草津川跡地利用基本構想」にまとめ、「琵琶湖と市街地を結ぶ緑軸」と位置づけることが示された。具体的な整備内容は12年の「草津川跡地利用基本計画」で、単なる公園づくりに終わらせない仕組みが随所に盛り込まれている。

 その1つは、「郷土の歴史的資源」と位置づけられていること。街を見下ろし、交通や日照・通風の妨げとなりかねない巨大な堤防を残していくことを市民が選択したことに他ならない。

 2つ目は、市民によるまちづくりの実践の場として位置づけられていること。廃川以降今日に至るまでの期間、構想・計画が練られる一方で、地域住民の活動の場として暫定的な利用が図られてきた。

 総延長7キロの間には、幾つもの町があり、跡地利用もグラウンドから市民農園、更に草木が生い茂るエリアまで様々だ。こうした活動の歴史は、今後の跡地と市民の関わりを考える場である市民ワークショップ(12年12月~13年6月)での具体的で多様なアイデアにつながっている。

 3つ目は、空間を埋めるガーデンデザインの質の高さが挙げられる。全容はまだ明らかではないが、草津川跡地は、中心市街地に近いエリアではより都市的で洗練されたガーデンとなり、周辺に田園風景が広がるエリアでは都市と農村の交流空間・農体験の場としてデザインされている。

ガーデンミュージアム

 「景観デザイン」と「コミュニティデザイン」に加え、未来を見据えた都市の安全性に寄与する「防災・都市環境デザイン」の3つの要素を組み合わせ、統一感と整合性を図ることで単なる公園づくりに終わらせない「トータルデザイン」の考え方に基づいた空間づくりとなっている。

 草津川跡地利用基本計画では、「ガーデン」に「多くの人が関わり、自然と人が時と共に生き、成長する空間」という意味を持たせ、こうした活動を通じて創出される、生き生きとした風景を「ガーデンミュージアム」と説明している。これはその時代に合わせて姿を変え、終わることのない人々の活動の場となるはずであり、まさに今、基本計画の副題である「どこにもない 魅力まちづくりの舞台」が開幕しようとしている。

(日本不動産研究所大津支所、不動産鑑定士・目片匡)

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