もんじゃ通りで知られる東京・月島に大型シェアハウス「月島荘」が完成した。普通のシェアハウスとは少し違う。借り手は複数の企業。多様な業種の社員が暮らす、シェア型社員寮だ。
6年前、今回のプロジェクト担当を打診された。入社2年目の当時は経験も知識もなく、不安が募った。そうした中、上司から「やる気が重要。今は知識がなくても死ぬほど勉強すればできる」と言われて決心。この数年間、何度も心が折れそうになったが、その度にこの言葉を思い返してきた。
何でも体験してみなければ分からない。コンセプトが決まった後、自ら会社に申し出て、半年間、他のシェアハウスで暮らしてみた。当初は仕事が忙しいこともあり、なかなか居住者とのコミュニケーションがとれなかった。そこで休日に入居者が開催しているヨガ教室に参加。何かが見え始めた。他にも料理やカメラ教室などたくさんの活動があったが、見渡してみると、積極的に参加している人は全入居者の3分の1程度。皆が皆、交流を目的に暮らしているわけではない。自分のペースで参加できることが大切だと思った。
そこで月島荘では、建物入口から自分の部屋まで、必ずしも共用部を通らなくても行ける動線とした。更に、他のシェアハウスでは共用であることが多いトイレやシャワー、洗面台を各個室に備えることにした。
紆余曲折を経て建物が完成し、10月中旬から順次入居が始まる。
「今は達成感というよりもむしろ〝稼働〟という次の段階に入った緊張感の方が強い。開発段階では本当に多くの人に力を貸してもらった。熱い思いで共に取り組んできたみんなの思いに応えられるように、しっかりと命を吹き込んでいきたい」と気を引き締める。
目指すイメージは、ビジネス版「トキワ荘」だ。手塚治虫や藤子不二雄など実力ある若手漫画家が暮らし、切磋琢磨したように。「未来を背負う若者が、互いに良い刺激を与え合い、成長する場。そして、月島荘を卒業してもネットワークが続く、そんな住まいにしたい」
そのためにはまだまだ作り込みが必要。しばらくは月島荘の住人として忙しい日が続きそうだ。
東京都出身。趣味は旅行とスノーボード。
(井川 弘子)



























