「桃栗三年柿八年」 松岡英雄 新住まいのことわざ(83)
住宅新報 2011年9月20日 号 14面
今年の夏は2人の知人からとうもろこしとじゃがいもをいただいた。とうもろこしは、私より5歳も年上のオーナー社長さんが休日を返上して育てたものである。じゃがいもは、定年後を元気に生きている私と同い年の人が貸し農園で作ったものである。ずぼらな私には到底真似ができない。
夏の終わり、昔の仕事仲間3人と1年ぶりに新宿で会った。終戦を境に、前に生まれた2人が今も働いており、後に生まれた2人は年金生活である。働いている2人の方が飲むピッチが早かった。会社の定年制は見直すべきだ、と言ったのは戦後生まれの方だった。確かに、知恵や技術があり働く気力のある人を年齢だけで卒業させてしまうのは社会的にももったいない。午後10時にお開きにしたが、2人は2次会に行ったそうである。
立原正秋の文庫本のカバー画を多く描いていた堀文子さんは93歳になる今年、70代の頃、数年間暮らしていたことがあるイタリアの農村を訪れたという。それだけでも驚きであるが、彼女は現在、『サライ』に「命といふもの」と題する気品ある文章と素敵な画を連載している。それがなんと140回を超えている。すごいパワーである。
毎年10月になると中学の同級生から富有柿が届く。昨年同窓会で会ったとき、よく働くね、と声をかけたら、農家に定年はないよと笑っていた。仲間の厚意に元気をもらい、秋を感じ、故郷を思い出す。 (エッセイスト)






















