記者A 最近、〝免震構造〟の採用をうたったマンションをよく見るよね。
記者B そうだね。明確な数字はないけれど、免震構造の普及活動を行っている日本免震構造協会(JSSI)の人は、増えていると言っていたよ。11年に計画された免震建築物の数を今、調査しているんだって。
A どうして増えているのかな?
B やっぱり、東日本大震災の影響だよ。震災後は建物の安心・安全に対する消費者ニーズが高くなっているからね。リクルートが12年に首都圏で新築マンションを契約した人を対象に行った調査によると、購入の決め手になった物件スペックとして、「地震対策」を挙げた人が23.5%いた。「日当たりの良さ」や「収納スペース」などに次いで4番目に多く、回答率は、震災後2年連続で増えている。一方、東京カンテイによると、震災時、宮城県内にあった免震マンション33棟のうち、29棟は被害なし。残りの4棟の被害も軽微だった。建物の被害が総じて大きかった仙台市太白区長町でも被害なしだったんだって。免震効果が発揮されたってことだね。
A そうか。事業者としては、消費者の安心・安全ニーズが高まっている中、東日本大震災でも効果を発揮した免震を採用することで、地震対策をPRできるってことだね。
B そう。実際、JSSIの人によると、過去の大きな震災後もそういった動きはあったんだって。特に、免震の認知度を上げた阪神淡路大震災は、象徴だよ。当時、神戸市内にあった2棟の免震建築物に被害がなかったんだ。
A それで、免震建築物が増えたの?
B うん。80年代前半に第1号ができてから、94年までは累計で84件しかなかったけど、95年には73件、96年には231件の取り組みがあったんだ(上グラフ)。
A でも、2010年の取り組みを見ると、140件にとどまっているね。どうして、増加傾向が続かないのかな?
B おそらく、大きいのはコストの問題だよ。
A 一般の耐震建築物より、高くなるってこと?
B JSSIによると、10階建てで一般の建築物に比べて、目安2~3%くらい高くなるって。これもJSSIの人が言っていたけれど、震災後すぐのタイミングであれば、消費者の需要が大きいから、その増加コストが一定程度、許容される。ただ、そこから少し時間が経過して、消費者需要が低下すると、コスト増が重荷になって、取り組む事業者も減るんだって。
A なるほど。
B ちなみに、コストの話で余談だけど、超高層での場合は、ちょっと違うみたい。
A どういうこと?
B ゼネコンの人の話によると、免震構造を採用することで、コストアップになるのは、地震エネルギーを吸収する積層ゴムなどを設置する免震層の部分。このコストは、建物の高さが2倍になっても2倍になるわけではないから、高さが高いほど、1戸当たりが負担する免震化費用は少なくなる。それに、免震を採用していると、建物に入る地震エネルギーを軽減できる。同等性能を持つ耐震構造に比べると、壁や柱の構造コストは抑えられる。だから超高層であれば、免震化によってそれほどコストが上がるわけではないって。
A 今後の事業者の取り組みはどうなるかな?
B 東日本大震災は阪神淡路大震災と違い、首都圏居住者も大きな揺れを経験したし、今は首都圏直下型地震の発生などが叫ばれているから、消費者の安心、安全需要は簡単に下がらないと思う。でも、それ以上に、免震採用が消費者に有益だと判断するなら、事業者側には、需要を喚起し続けるような取り組みにも期待したいね。























