新住まいの「ことわざ」<160> 酒なくて何の己が桜かな 松岡英雄
住宅新報 2013年4月2日 号 14面
連載: 新住まいの「ことわざ」
落語に「長屋の花見」という演目がある。貧乏長屋の連中が大家さんからお花見に誘われる。大家さんは、酒の代わりに薄めた番茶、蒲鉾の代わりに大根、玉子焼きの代わりにたくあんを重箱につめて、連中を上野の山に連れていく。酔ったふりをし、さも蒲鉾のように食べる様子を、落語家として初めて人間国宝に認定された5代目柳家小さん師匠がおもしろおかしく演じていた。
酒のない花見などどうして花見であるものか、酒がなければ花見をしていても一向におもしろくない、というのである。酒飲みからすればそうかもしれない。しかし、下戸に言わせれば『花より団子』である。
都内で桜の名所といえば、上野公園や靖国神社であるが、あそこは団体で行って酒を飲むところである。静かに桜を楽しむなら、赤坂アークヒルズの外周道路もなかなか良い。勤務先から近かったこともあって、夜桜見物に何度か足を運んだ。ライトアップされているから、満開のときは、それは美しい。






















