列島 ホットなまち 一般財団法人日本不動産研究所 □□36 鳥取県・若桜鉄道によるまちづくり 歴史遺産とSL目玉に
住宅新報 2013年2月12日 号 18面
連載: 列島 ホットなまち
09年に関連施設を登録
若桜(わかさ)鉄道は、鳥取県東部のJR因美線郡家駅(八頭町)と若桜駅(若桜町)を結ぶ延長19.2キロの鉄道で、1930(昭和5)年に鉄道省若桜線としてスタートし、87年10月にJR西日本から引き継ぎ第三セクターとして開業した鉄道である。両駅間には丹比、八東、徳丸、安部、隼、因幡船岡、八頭高校前の7駅があり、09年にそれら沿線の駅舎や鉄橋など鉄道関連施設23カ所が国の登録有形文化財として登録され歴史的遺産として注目されている。
八頭町では駅本屋、プラットホーム、橋梁、落石覆、雪覆など15施設が登録有形文化財に指定された。若桜線は1928年に隼駅まで開通し、30年に若桜駅までの全線が開通する間の終着駅だったため、乗務員休憩所など、他の駅にはない施設が設けられている。外観だけでなく、待合室内部も往時の姿を残している。近年、バイク「ハヤブサ」のライダーが全国各地から多数この駅を訪れている。
また、落石覆は、昭和30年代に築造された鉄筋コンクリートの重厚な構造物である。側壁に14連の半円アーチを設けると共に、頂部には土を詰め、落石時の衝撃を吸収する役割を果たしている。
観光運行へ募金活動
一方、終着駅・若桜駅構内には、駅本屋とプラットフォーム、物置と灯室、旧西転、東転、諸車庫、機関車転車台、給水塔、流雪溝の8施設が登録有形文化財に指定された。この中で、特に注目されるのが、機関車転車台である。これは駅構内の下り方向に位置する機関車の方向を上り方向に変えるための台で、機関車の載ったプレートガーターを回転させ、約40トンのSLを人力により簡単に回すことができる。底はすり鉢状になっており、冬季は流水を導入して、融雪、凍結防止を図っている。観光客は、この施設の操作を実際に体験することができる。
戦前戦後に若桜線で活躍した蒸気機関車C12-167号が07年、兵庫県多可町から若桜駅に帰ってきて、駅構内で体験運転・展示走行などを行い観光の一翼を担っている。現在、SL観光列車運行実現に向け、地域が結束して取り組んでいる。実際に本線を走るためには、鉄道事業法の検査のほか、多額の復元費用、車両整備費用が必要となり、それを賄うため募金活動を行っている。
若桜駅を出れば、蔵通り、仮屋通りと昭和レトロな面影の町並みが残り、往時の若桜宿の繁栄ぶりをしのばせる。若桜鬼ヶ城跡、若桜神社、若桜弁財天、若桜郷土文化の里、昭和おもちゃ館と、駅から徒歩圏内に見どころも多い。少し離れてはいるが、不動院岩屋堂は、日本3大投入堂の1つで53年に国の重要文化財に指定されており、天然の岩窟内の舞台造りは見物である。
SLが観光の目玉として走り、若桜町、八頭町が観光客でにぎわい、地域が元気になることを期待する。
(日本不動産研究所鳥取支所、不動産鑑定士・向井伸)

























