松岡英雄新住まいの「ことわざ」 <133> 堂に入る
住宅新報 2012年9月18日 号 18面
連載: 新住まいの「ことわざ」
「堂」にはいろんな意味がある。
広辞苑によれば、(1)賓客に接し、また、礼楽を行う建物。表座敷。表御殿。母屋。正殿。寝殿(2)神仏を祭る建物(3)衆人の集まる建物。「公会堂」(4)棟の高い家屋。住居。居室(4)商店の屋号または人の雅号などに添えていう語。「風月堂」(5)他人の敬称に用いる語。「母堂」。
表題の言葉は『堂に升(のぼ)りて室(しつ)に入(い)らず』を語源としている。表座敷には昇っているが、奥の間にはまだ入っていない。学問・技芸などで上達はしたが、まだその道の奥義をきわめていないということのたとえである。孔子が弟子に諭したと「論語」にある。
升るは、昇るである。玄関先で「どうぞおあがりください」と使っていた。フラットになってしまったマンションの玄関先ではもう使えない。
『堂に入る』とは、学問や技芸がその道の深くまで達し、すぐれている。また、手慣れていて、すっかり身についていることをいう。「彼の演説は堂に入っている」「彼女の英語は堂に入っている」などと使う。昔の政治家は堂々としていて、演説も面白かったけれど、最近はなんだかつまらなくなってしまった。やっぱり、雄弁は銀なのだろか。
そこで、今夜、居酒屋でこの言葉について薀蓄(うんちく)を傾けていただいたら、堂に入った説明ぶりに部下たちがあなたを見直してくれるかもしれませんよ。 (エッセイスト)






















