食の安全の危機
住宅新報 2011年9月20日 号 1面
レベル7という原発事故。放射能汚染対策が速やかで十分とは言えないのが残念だ。原子炉の状態がよく分からないのだから、事故収束の目途が立つわけもない。一度事があった場合、原発は人類の手に負えるものではないことが、これほどあからさまになったことはない。
▼撒き散らされた放射能は消えない。土地を、宅地を、農地を生かすには汚染を取り除くしかない。表土を一定の厚さで削り取るしかないのだそうだ。莫大な費用がかかるほか、取り除いた土を保管する場所の確保も大きな問題だ。山林原野などに飛び散った放射能の回収は、現実的には手が付けられない。
▼秋の味覚の1つにきのこ料理があるが、福島県などでは野生のきのこの出荷停止、摂取の制限が出された。香ばしい薫りは野生ならではだが、今年は難しくなった。山の幸だけでなく、自然がもたらす腐葉土などの有機肥料も直撃を受けて、放射能禍は連鎖の様相を見せる。
▼日本は「食の安全」の優等生だった。すしなどの日本食はヘルシーの代名詞をもらい、国際的にも人気があった。その「安全神話」が危機を迎えている。営々と、食の安全を築き上げてきた関係者にとって、その努力が打ち砕かれようとしているのは無念の極みだろう。自然と共に生きる、この伝統的な日本人の生き方を大事にしたい。原発事故の被害が広がる中、我々はいま何を成すべきなのかを考えたい。






















