20世紀以降の現代建築を形づくったのは、鉄筋コンクリートの発明です。
モルタル普及は紀元前
コンクリートという素材の原型は紀元前からあり、モルタルとして組積造の目地に用いられてきました。ヨーロッパは石灰大地が豊富で、その上で焚き火などをした後に崩れやすくなった石灰と砂、雨水が混ざり糊状のペーストになったもの(モルタル)が乾くと、一定の強度を持つことは容易に発見されたと考えられます。このような原始的なモルタルは、エジプトのピラミッドやローマの水道、ギリシャ神殿にも使われています。
その後、モルタルは石造におけるつなぎ材料として使われてきましたが、産業革命の時代になると一気に発達します。市民社会の到来は旺盛な建築需要を生みますが、石造は高価であるため、レンガ造が主流でした。その表面にコテでクラシックな柱型や梁型を描き出すのに、モルタルのコテ塗りが最適だったのです。モルタルは調合や組成によって固まる時間と強度発現時間が異なり、旺盛な需要を背景としてこれらの研究が一気に進んだのです。
植木鉢職人が〝発明〟
鉄筋とコンクリートを組み合わせる発想はなかなか生まれなかったのですが、フランスの植木鉢職人モニエが、モルタルで型取りした量産品の大型植木鉢が割れやすいことに困り、金網をモルタルの中に入れてみると強度が上がりました。これにヒントを得たのがロンドン動物園の営繕係で、人気の高いペンギンの橋がよく崩壊していたため、金網ではなく細い鉄の棒をコンクリート製の橋に入れたところ、非常に強度の高い橋ができたのです。これが鉄筋コンクリートにおける最初の実用化例と言われています。1890年後半にこの話を聞いたドイツの技術者ヴァイスは、鉄筋コンクリートの理論化を行い、今日の鉄筋コンクリート構造が生まれたのです。
建築業界では鉄筋コンクリート構造を「RC」と呼びますが、これは英語表記であるReinforced-Concrete(強化されたコンクリート)の頭文字を取ったものです。鉄筋コンクリートの理論的な基礎は、構造体にかかる引っ張り力に対しては鉄筋が抵抗し、押しつぶそうとするような圧縮力に対してはコンクリートが抵抗し、構造的な安定を保つことにあります。
また、鉄は錆びやすい素材ですが、アルカリ性のコンクリートで被覆することにより、鉄筋の酸化を防ぐことができます。鉄とコンクリートの持つ性質の良いとこ取りをしたのが鉄筋コンクリートと言えます。
しかし弱点もあります。コンクリート構造物はその重量ゆえ、自重を支えるために大きな断面が必要になるという側面があります。また、空気中の二酸化炭素と結びついて、本来持つアルカリ性が中性化して鉄筋の酸化を促し、強度低下~破断というプロセスに入ってしまいます。
(建築家・中村 義平二)























