「一人口(ひとりぐち)は食えぬが二人口(ふたりぐち)は食える」 松岡英雄 新住まいのことわざ(82)
住宅新報 2011年9月13日 号 12面
スープの冷めない距離に引っ越せて羨ましいですよ、と知人に言われたりする。今回の引っ越しは私のわがままであり、良かったのかどうか結論が出ているわけではない。それでも、今のところ、次女家族とはまずまず良好な関係を維持しており、孫たちも喜んで遊びに来てくれる。
10(平成22)年国勢調査の抽出速報集計結果によれば、1人世帯が全世帯の31.2%で初めて30%を超えたそうだ。また、65歳以上の者のうち15.6%は1人暮らしでその割合は上昇が続いているという。一人で暮らすことの大変さや心細さを考えると、昔の大家族制は理に適っている。
「一人口」はひとりで生計を立てること。生計は夫婦で営む方が独身よりも経済的に得であるということで、親子にも当てはまる。
私には祖父母の記憶がほとんどない。父母の実家は共に私の生家からそれほど遠いところではなかったが、なぜか訪ねることが少なかったし、祖父母たちが来てくれることもなかった。そのことが、父母と両方の実家の関係が必ずしも良好ではなかったからだと分かったのは、中学生になってからである。
長女家族も月に1度は2人の孫を見せに荻窪から藤沢まで来てくれる。その時は、3家族11人が賑やかに集うことになる。私の両親にも家内の両親にも孫と親しく過ごしてもらう機会をあまり作ってやれなかった。
引っ越しはその反省からでもある。(エッセイスト)






















