ゆとり世代をトップ営業マンに育てる術(7) 〝厄介な特徴〟を逆手に取る アメとムチで「精神的OJT」
住宅新報 2012年5月1日 号 7面
■他人の眼を気にしない
つまり、「自分の行動が他の人から見てどう映るか」を行動前に考えることがない。「他人がどう思うか」を考える必要性を認めておらず、そもそもそのような発想自体がないのである。
この特徴は、一見頼もしくも映る。周りの眼を気にし過ぎて一向に行動に結びつかないタイプの対極にあるからだ。しかし、ものごとには程度がある。優先されるのは自分の気持ちばかりで、相手の気持ちをまったく顧みないのは、ただの「自分勝手」に他ならない。
そんなゆとり世代の特徴が、職場での「言うことだけは一人前」「生意気ばかりで結果を出せない」といった不満を募らせるのである。職場内部で収まっていれば、まだましかもしれない。これまで積み上げてきた取引先との信頼関係が、彼らの無神経な一言でご破算になる場合もある。会社全体の評判に関わることだってあるだろう。そんな彼らを会社の戦力として育てるには、なぜそのようになったかを知らねばならない。
■「やりたいこと」のみ
ゆとり世代の語源となった「ゆとり教育」に真因はある。彼らは個性尊重の名の下、『やりたいことだけやればいい』と育てられてきたのだ。加えて、同じような教育方針が家庭でも採用され、「しつけ」が放棄された。
ゆとり世代はそのまま社会人となり、会社に入っても「やりたいことだけやっている」し、その行動の影響を考えることもしない。それが彼らの考える個性の発揮なのである。
こんな厄介な存在をいっぱしの営業マンに育てるためには、逆にその思考・行動様式を利用すればよい。彼らには他の特徴として、「周囲の人間や社会に対する不平不満、批判が多く、問題を周囲のせいにしがち」「物事はうまくいって当たり前と考えるため、少しでもうまくいかないと自信を失う」というものもある。
これらは「やりたいことだけをやっている」ことと表裏一体だ。周囲に不満があるからやりたいようにやり、やりたいようにやってうまくいかなければ挫折感が大きい。だから、周囲が「慎重に」失敗させてやるのも一手だ。顧客との信頼関係に決定的なヒビが入らないように、本人が再起不能とならないように、「慎重に」するのが肝要だ。
その上で、ここで繰り返し提唱している情報提供型営業をやらせてみてはどうだろう。この営業法は営業プロセスを細分化するため、成果が実感しやすいところを彼らに担当させることもできる。
ゆとり世代に対して頭ごなしに「ここが悪い」と叱っても、思考様式自体が違うのだから、たとえ納得した素振りを見せても心からの理解ではないだろう。そうではなくて、実地において(慎重な失敗ののち)成功体験を与えてあげる。そこでなぜうまくいったのか、その成功はどれだけ周囲の人間に助けられたかを教えることが効果を上げる。
いわばアメとムチであり、情報提供型営業を利用した精神的なOJTが、ゆとりの視野を広げるのだ。
(ブレインマークス代表取締役・安東邦彦)
※本連載は月に1回の掲載です。


























