旭化成ホームズは、在宅医療をキーにしたビジネスを模索している。今年初め、静岡県富士市に旭化成グループ内外の最新技術や製品を取り入れた実証住宅を完成させた。
自宅で血液透析
その中で通常は病院で受ける血液透析を自宅で行う場合を想定した居室を再現。リビングの一角に、透析を行うための機器や薬剤を収納しておくスペース、専用の電源、給排水設備を設置。病院とITでつないで透析状況や透析資材在庫を管理するシステムや、離れた場所でも様子を把握できる見守りシステムも用意した。同社では、こうした機器やシステムをパック化し、中小病院を再生したり、戸建住宅のリフォーム事業に生かそうとしている。
透析患者は通常、1回当たり4~5時間かかる透析を週に3回ほど病院で受ける。通院にかかる時間や体力的な負担は大きい。自宅ならば時間的制限も少なく、テレビを見ながらゆったりとした気持ちで透析することができる。しかし、現在透析患者30万人のうち、自宅透析者は300人に過ぎないという。
「透析が必要になると『今までのペースで仕事ができなくなる。旅行にも出かけにくい。自分の人生は終わった』と落胆する人が多い。住まいでそれを変えることができるのではないか」同社常務執行役員新規事業推進本部長の馬場三千雄氏は期待を寄せる。
今、実証棟で医療関係者や患者らの意見を聞いている。機器や設備の配置など、在宅医療に必要なポイントが少しずつ見えてきた。「実際にリフォーム案件も寄せられている。ノウハウをためて最小限の改修で快適な空間を提供できるようにしたい」と同新規事業推進本部の木戸正博氏は語る。
かつて人生における住宅双六(一般的な住み替え)は、小さなアパートで新婚生活をスタートし、子供が生まれたら少し広い賃貸マンションに引っ越し、その後分譲マンションを購入。そして郊外の庭付き一戸建てを持つことが上がりだった。
バブル崩壊でその形は崩れたが、供給側の対応はどうなされてきたのだろうか。高齢者の単身世帯が増えると予想されている今、晩年の暮らしを真剣に描く努力が業界に求められている。
増える単身世帯
双六の形が崩れた最大の要因は右肩上がりではなくなった所得環境だが、家族構成の変化も大きい。長谷工総合研究所の吉村直子氏は、「小家族化が進み単身世帯が増えている中、住まい方は多様化。兄弟姉妹や友人同士、3人組も考えられる。今高齢者の住まいとして供給されているものは、単身か夫婦向けばかり。もっと視野を広げてもいいのではないか」と指摘する。
4月に介護報酬・診療報酬が改定され、従来の病院や施設頼みから在宅への流れが明確になってきた。サービス付き高齢者住宅がその受け皿として期待されている。今回の介護保険法改正で創設された24時間対応の定期巡回・随時対応サービスなどとの組み合わせで、住みなれた地域で暮らし続ける構図が描かれようとしている。
住宅業界は、住宅双六の〝上がり〟を新たに設計し直さなければならない。
(井川 弘子)























