全国まち・住宅・不動産 話題のスポット 日本不動産研究所(47) 秋田県大仙市大曲通町地区の再開発 人口減少、高齢化では先進地域 医療、健康福祉の拠点に
住宅新報 2012年4月10日 号 12面
連載: 全国まち・住宅・不動産
病院の郊外移転
10(平成22)年国勢調査において、秋田県の人口減少率は前回調査(05年)に対しマイナス5.2%となり、減少率は全都道府県で1位となった。また、高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)では29.6%と、こちらも全国1位である。秋田県は人口減少、高齢化問題において全国の先進地域である。
秋田県内では、89年ごろより、市街地中心部に立地していた病院の郊外移転が各地で相次いだ。これらは施設の老朽化や耐震性能、あるいは地域における医療施設の再配置の要請を背景としたものだったが、移転後の病院跡地は具体的な活用方法を見出せずに更地のままとなった地区もあり、高齢者の通院は不便を強いられるなど、中心市街地の衰退化をさらに加速させる一因との批判もあった。「コンパクトシティ」の思想とは逆行した対応がとられてきたとも言える。
開催当日には80万人の観覧客で賑わう「全国花火競技大会(大曲の花火)」。その会場に近い大曲駅前にある仙北組合総合病院でも、施設の老朽化による病院の建て替えは、かねてからの懸案とされていた。また、市内では郊外の大型商業施設の出店の影響や、市街地に立地する商業施設「ジョイフルシティ大曲」の閉鎖(08年10月)など、中心市街地の衰退化が深刻で、駅近くの「花火通り商店街」では、休日の昼頃でさえ人通りはまばらだ。大曲駅前の地価は大幅な下落を続け、09年の秋田県地価調査では、郊外の国道13号沿いの商業地域に初めて逆転された。
このような中、「大曲通町地区第一種市街地再開発事業」が進められることとなった。大曲駅から約200メートルに位置する2.7ヘクタールの地区に、総事業費約154億円を費やし、仙北組合総合病院の建て替えと共に、ジョイフルシティ大曲の跡地周辺を再開発する計画だ。
地区の北街区では、病院棟(仙北組合総合病院、地下1階地上8階、3万4123m2)、複合商業棟(薬局など、2階、1728m2)、高齢者福祉棟(ショートステイ施設、4階、2287m2)、バス待合室(544m2)。南街区では事務所棟(大曲商工会議所、2階、1119m2)、健康福祉棟(健康増進センターなど、3階、2643m2)、児童福祉棟(認定こども園など、2階、2171m2)、駐車場棟(4階、5240m2)が建設される。
衰退を食い止める
利便性の高い市中心部に病院を整備し、一帯を医療や福祉、交通の拠点にしたい考えだ。12年2月に北街区の解体工事に着手し、14年2月に新病院が完成するのに続き、病院の移転後の同年5月に南街区の解体工事に入り、15年6月に竣工する予定となっている。
人口減少、高齢化が進行する現在、病院の建て替えとともに市街地を再開発することによって中心市街地の機能を向上させ、衰退を食い止めようとする動きは、地方都市における再開発のあり方として、その効果に期待が寄せられる。
(日本不動産研究所秋田支所、不動産鑑定士・國松了)

























