知って得する建物の豆知識(82) HEMS 低減効果がポイントに
住宅新報 2012年3月13日 号 4面
連載: 知って得する建物の豆知識
発電所で発電された電力の消費割合を見ると、産業・業務用でおよそ7割が消費され、残りの3割が家庭で消費されています。各分野での節電は化石燃料の消費を抑え、全原発の停止に備える意味から、継続的かつ徹底的に行われるはずです。
オフィス用の節電システムについては以前、ZEBについてご紹介しましたが、他にもBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)などによって包括的に行われます。BEMSは建物全体のエネルギー需要の状況を把握し、機器や設備の運転を効率的に行うことで、総合的に省エネを実行するシステムです。これを家庭用に応用したのが、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)です。
■多彩な「見える化」サービス
HEMSでは、家庭内のエアコン、冷蔵庫などの機器類に取り付けた情報端末(アダプタ)を通じ得られた情報を、屋外に設けた無線または有線のターミナルからデータセンターへ送ります。もちろん、家庭内のモニターも可能で、専用機器の他にテレビ画面やスマートフォン、タブレットなどが想定されています。
こうして収集されたデータはデータセンターで解析、ビジュアル化され、省エネの『見える化』に使うことができます。例えば『ウェブサイトによるエネルギー使用量等の情報提供』は、電力会社やガス会社が自社のサイト上で、個々の家庭について過去1~2年間のエネルギー使用量の推移情報を提供するサービスです。同一性能を持つ他の家庭との比較情報も提供されます。これにより、自分の家のエネルギー消費レベルが確認できます。
また、『モニタリングによるエネルギー使用量等の情報提供』は、スマートフォンなどで電気の使用量などを約15分間隔のリアルタイムで閲覧できる、全電化住宅向けのサービスです。学習機能を利用すれば、わずかであっても省エネ効果を実感でき、更に機器の消し忘れなどによる異常な電力消費もモニタリングできます。
このほか、『エネルギー使用量等表示装置』は、リアルタイムの使用量や概算料金などを表示する端末装置(「省エネナビ」)です。これを見ることで省エネ行動が促されたり、自身が決めた省エネ目標の達成率などを知ることができたりします。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)では、補助金の支給にあたり端末装置の利用を義務づけています。
■年間「1万円」が目安
このようなサービスが、どの程度の価格で提供されるかが普及の鍵を握るわけですが、年間の利用料1万円程度が1つの目安のようです。HEMSを導入した結果、電気代やガス代の低減分を上回る効果を発揮できるかが本格普及のポイントになりそうです。
(建築家・中村義平二)






















