その日、その日に感謝 3月11日に住民総会を開催する「あすと長町仮設住宅運営委員会」会長 鈴木良一さん
住宅新報 2012年3月6日 号 2面
連載: ひと
「大変なことはあったが、落ち込む暇もないくらい忙しかった。3月11日の住民総会が1つの区切り。正直、ホッとしている」
自身も、家もろともすべての財産を震災で失った。想像を超える喪失感はあろうが、仙台市内随一の『マンモス仮設住宅』をまとめようとする意志は、過去を振り返らず前向きに生きていくパワーの源となった。「気を紛らわすこともできたかな(笑)」
居住ルールらしいものがない中、1つの敷地内に建設された233世帯の仮設住宅。お互い見知った顔がほとんどなく、心のどこかにある「少しの間だけの仮の住まい」という意識。独りよがりな行動も許されそうな雰囲気に、「待った」をかけるべく運営委員会を8月下旬に立ち上げた。
これまで自治会運営の経験はなかったが、「やるからには本気で」の意気込みが徐々に伝わり、多くの居住者から賛同を得ることができた。会則制定をはじめ、会の組織化を図り、居住者間の交流会も適宜開催。様々な要望や住宅地内の問題点をスムーズに伝えようと、管轄する区の幹部職員らと月に1回意見交換する場もできた。
運営委員会の会費はゼロ。会長をはじめとする役員は、「当然、手弁当。皆さん本当によくやってくれる」。活動の多くは、様々な方面からの支援で成り立っている状況だ。「新年度からは、自立を目指した会の在り方を考えても良い。また、居住者がここをスムーズに出るためのバックアップもすべき。次の会長、役員と共に、更に住みよい仮設住宅にしていく」と元気を見せる。
今年で古希。「今までは物欲もあり、高価なものもたくさんそろえていた(笑)。でも、もういらない。その日、その日を過ごせることに感謝するのが、3月11日以降の生き方」。笑って、楽しく、安心して生活できる場の確保。願うべきは、そのことだけだ。
(福島 康二)






















