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スタンダード会員限定あれから1年――被災者の思い 住みよく、安心できる場に 仙台「あすと長町仮設住宅」

住宅新報 2012年3月6日 号 1面

総合

『巣立ち』のサポートも

 震災から1年を迎える3月11日に、「あすと長町仮設住宅運営委員会」の住民総会が開かれる。仙台市内最大規模・233世帯からなる同仮設住宅。「皆が安心して暮らせるように、ということだけを考えて活動してきた。今後も次の代をしっかりとサポートしていく」と鈴木良一運営委員会会長は語る(2面「ひと」関連記事)。

 同委員会の発足は昨年8月下旬。震災後の5月に入居が始まって以降、8月までの第3次募集で160世帯まで増加。その頃から、様々な問題点が露呈し始めてきたという。「あすと長町の仮設住宅には、県内外から様々な被災者が集まった。ゴミの出し方、ペットの飼い方、駐車場の使い方などそれぞれが独自の方法でやり始め、住みにくさを感じるようになってきた」(鈴木会長)。行政に頼るのではなく、自分たちの手で住み良い仮設住宅にしようと、10人の有志で立ち上げたのがこの運営委員会だ。今では全体を6ブロックに分け、それぞれのブロック長と共に問題点や改善点を共有・解決する体制が整っている。

コミュニティ形成で気持ち良く住む環境

 この6カ月以上の間、手掛けてきたのは「ルール作り」だけではない。仮設住宅最大のテーマともいえる「コミュニティ作り」にも注力した。「仮設住宅は、あくまで『仮の住まい』。逆に言えば、早く自立して出て行くべき場所だ。ただ、そこにいる期間だけでも皆で団結し、気持ち良く住める環境にしたかった」と鈴木会長は話す。

 農園、ラジオ体操、パソコン、英会話、カラオケなど、仮設住宅の居住者が立ち上げようとする様々なサークル活動をサポート。家に閉じこもりがちな高齢者もサークル活動で集会所に顔を出し、多くの人と触れ合うきっかけづくりを提供している。また、親睦会や餅つき大会といったイベントも開催した。

 窓などの開口部をゴーヤやヘチマなどツル性植物で覆う「緑のカーテン」の取り組みは、NPO法人の助けを借りて実施。今夏は仮設住宅全体で行い、「緑一色にしたい」と意気込む。また、芸術家の団体からは、道路側の仮設住宅の壁面をキャンバスに見立て、アート作品を描くといった支援もあった。デザイン性や色彩とは無縁といえる仮設住宅だが、彩りが加わったその『作品』を見て住民の表情もほころんだという。

 今年の夏は、敷地の一角を利用して夏祭りをする計画だ。「様々な活動ができるのは、多方面からの協力があってこそ。その方々への感謝の気持ちを込めて開催したい」(同会長)

    ◇   ◇

 震災から1年。まさしく、「生きていくのに必死」の人たちが集まった場所。「時には叫びたい時もある」と鈴木会長は笑って話すが、各居住者が背負う悲しみ、怒り、心の傷にはうかがい知れないものがある。

 その中にあって、短期間で作り上げることができた居住者同士のコミュニティ。「とりあえず、安心して安全に暮らせる土台は整った気がする」。今後は、この仮設住宅から巣立っていくためのサポートを視野に入れた活動がテーマだという。

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