「正直」信条に輪広げる 「足立区の不動産業を若手が盛り上げる会」を主宰する 志賀 裕一さん
住宅新報 2012年1月31日 号 2面
連載: ひと
東京・足立区のまさひろ商事不動産で、売買仲介を担当する30歳。20~30代が中心の「足立区の不動産業を若手が盛り上げる会」を主宰する。「同業の同世代には、業界の古い体質に問題意識を持つ人が意外に多い」。思いを共有しようと呼び掛けたのが始まりだった。と言っても堅苦しさはなく、会場の居酒屋は終始和気あいあいとした雰囲気。当初は数人だった参加者も、9回目を迎えた1月下旬には30人を数えた。
業界の旧態依然ぶりは、情報を閉ざすことで取引が成り立つ実態に象徴される。だがインターネットによりあらゆるモノの値段が消費者の知るところとなった現代、「仲介手数料の中に、情報提供の対価は最早含まれていないと考えるべきではないか」
活路となるのが、『業者間の連携』だ。「得意・不得意分野を補い合い、商談をスムーズに進める。そうして満足度が高まれば、評判が次の案件を呼ぶ」。競争ではなく利益を『分配』する発想は、時代の風潮にも合う。その基盤作りが、「盛り上げる会」のもう1つの狙いでもある。
「業界を変えたいとか、崇高な理念は持っていない」と笑う。だが真顔に戻って一言。「ごまかしたり嘘をついたりして、嫌われたくないだけ」
学生時代は飲食店でアルバイトし、接客には自信があった。ところが不動産業に携わって間もなく、ある事実に気付いてしまう。「どんなに頑張っても裏切られる」。地元の情報やプライベートな話を交えて盛り上がっても、他社で決められてしまえばそれきり、何の連絡もないことがよくあった。
そこで、「お客として接することを止めてみた」。あくまで人間同士として向き合うという意味だ。個人の付き合いなのだから、初めの段階で「合わない」と感じれば、やんわりお断りする。逆に、信頼関係を築ける相手のためには労を惜しまない。建築や簿記の知識を独学で仕入れ、宅建はもちろんFPの資格も取得。仲介業者のできる範囲で、その人が最良な選択をできるよう後押しする。そうして自然体で臨むようになってからは、かえってリピート客が増えた。「極端な考え方だと思う。井の中の蛙です」
独りよがりだとしても、井戸の水が澄んでいるから、味方がどんどん増えていく。
(鹿島 香子)


























