全国まち・住宅・不動産 話題のスポット(9) 沖縄県・南国独特の建築慣行 日本不動産研究所
住宅新報 2011年6月21日 号 24面
連載: 全国まち・住宅・不動産
気候風土と歴史を反映鉄筋コンクリート信仰
沖縄県では、戦後の木材不足や米軍によるコンクリート供給が行われていた影響で、鉄筋コンクリート住宅が定着している。木造住宅のシェアは、現在でも3%程度と非常に低い。木造住宅には調湿機能、断熱性などの利点があり、近年は県内でも見直されているものの、台風被害、高温多湿気候によるシロアリの害の面からも、県民の鉄筋コンクリート信仰はいまなお根強い。
本土から沖縄に進出した住宅メーカーの多くは、県内向けに鉄筋コンクリート住宅の商品提供を行っている。鉄筋コンクリート住宅といえば、無機質で冷たい感じになりがちであるが、沖縄では鉄筋コンクリートでありながら、工夫を凝らした個性的なデザインの住宅が多く、外観の色合いも南国ならではの明るい雰囲気の住宅が多く見られる。シャワーのみの部屋も
沖縄のアパートでは浴槽がなく、シャワーのみの部屋が多い。夏が長い沖縄では、ゆっくり浴槽につかる風習はないためであり、もちろん、浴槽の追い炊き機能などは付いていない。また、住宅のトイレの床はタイル張りで排水口が設置されており、水をまいてデッキブラシで掃除するのが普通である。
従来、沖縄県にはダムが少なく、夏場にたびたび水不足に見舞われたため、その対策として住宅の屋上に容量1トン程度の貯水タンクを設置するのが一般的である。平成に入って、沖縄本島北部の水源地帯からの送水態勢が整い、93年を最後に沖縄本島では取水制限の実績はなくなった。タンクを設置すると水圧が低下し、清掃の手間も大きいため、近年では無用の長物となりつつあり、最近の新築住宅では設置されないケースが多い。
沖縄の鉄筋コンクリート住宅を見ると、屋上にコンクリート構造物が突き出た建物が目に付く。これは、将来の増築に備えて鉄筋コンクリートの柱を露出させたもので、建物から角が生えているようにも見えることから、角出しと呼ばれている。しかし、実際に増築しようとしても、耐震基準を満たせないケースがほとんどであり、現在の新築住宅では見られなくなっている。塩害と海砂の使用
5月下旬に襲った台風2号により、沖縄県では各地で被害が発生したが、被害の主な内容は風や洪水によるものではなく、台風により巻き上げられた海水による塩害であった。島嶼県である沖縄県では、建物は常に塩害の影響を受けており、建物の外装などについては早めの修繕が重要となる。
また、沖縄県ではコンクリート骨材の多くに海砂を使用している。79年までは、コンクリート骨材として使用する砂に含まれる塩化物についての規定がなかったため、古い建物では脱塩を行わずに海砂を使用しているケースも多い。このような物件では構造の劣化が進んでいるものも多いため、中古建物の取引に当たっては十分な建物調査が必要である。(日本不動産研究所那覇支所、不動産鑑定士・干場浩平)






















