「住宅新報社新年号を拝読して」(飯島)
連載: 読者コラム
2014年は、懸念事項として4月からの「消費税増税」、「建築資材・人件費の高騰」、「金利の上昇リスク」などがあります。
しかし、年頭の大手不動産業界経営トップのアンケート内容を見ると、デフレ脱却、経済成長戦略へ向けて日本経済は改善の方向にあると回答した割合が66.8%と景気回復を実感させる結果が出てきております。
そして不動産・住宅市場の景況についても、前年より好転するまたは前年度と同様に推移するとの答えが80%となっています。消費税増税も一時的で、「正月商戦の住宅展示場来場者が前年を上回る賑わいを見せた」という明るい声が聞かれたことからも「住宅ローン減税」の倍増、「住まい給付金」、「フラット35」の借り入れ可能額90%から100%へ変更などの政策が後押しをすることで、更にこれから景気が上向いていくことへの期待が読み取れます。
確かに明るい兆しが感じられる不動産業界ですが、はたして将来も本当に明るいといわれる状況なのでしょうか。近年、日本では世界でもこれまで経験したことのない少子高齢化・人口減少が類を見ないスピードで進んでいます。
しかも今年は、いわゆる「団塊の世代」と呼ばれる昭和22年~25年生まれの最終年の人たちが定年を迎えようとしている年です。
この3年間だけで約800万人の人たちが、いわゆる日本経済の原動力である生産年齢人口(15歳~65歳)から消えてしまうことになるのです。また、若年層が経済的理由等から自家用車を欲しくなくなりました。また、高齢者は運転したくともできなくなってきます。
このような社会背景等から不動産価格においては着々と立地の二極化が進行しています。
都心部などの足回りのいい場所では地価が上昇していきますが、郊外の交通の便が悪い郊外では地価が下落し続けているという現象が起こっています。つまり景気が上向きになると想定されるのは、東京中心の一部地域のみでその他地域はまったく違うことを認識すべきだと思います。
具体的に、先日私が取り扱った不動産売買事例をご紹介します。相続相談の結果、神奈川県内の某私鉄急行停車駅からバスで20分の地域にある土地の売却依頼を受けました。そこで面積が広大なため一般エンドユーザーで購入者を探すことはむずかしいとの判断をしたうえで、別々の戸建てデベロッパー5社に査定をお願いしました。
結果は、依頼した会社のうち3社のデベロッパーは買い取り(仕入れ)不可=価格がつかないという答えでした。ということは、近年中には、全てのデベロッパー事業者が相場に関係なく地域(エリア)で判断するタイムリミットが着々とせまっていることを意味します。自分たちがこれから住みたくない地域、つまり交通が不便で高齢化が進んでいるような不人気地域に不動産を所有している方は注意が必要です。
売主(地主)の立場からすれば、現金化することができない=資産価値ゼロ、ただ単に高い固定資産税を毎年支払い続けなければばらない資産を所有しているだけということになるからです。
不動産は所有しているだけで価値がある時代は、バブルを過ぎ去りました。
もっともっと危機感を持ってほしいと思います・
これからは、所有している不動産=金融資産という経済的な価値を客観的に理解し、社会的(少子高齢化などの時代背景)空間+時間的(相続による継承)空間軸に対応した有効活用(資産の組み換え・交換など)をできた経営的感覚を持った方々のみが成功していくのでは思います。
最後に、不動産業界の景気がよくなること=日本全国すべての不動産が動くこと(上昇すること)ではありません。

飯島 潤治(マイアドバイザー 登録)
横浜の不動産総合商社であるリスト株式会社に約17年間勤務し、主に不動産仲介および財務省から業務委託を受けた国有財産の管理業務に従事する。横浜東口店の責任者などを歴任し、取扱い物件数は3000件以上の実績がある。幅広い知識と机上論ではない、長年の現場経験に基づくわかりやすい説明に定評がある。現在、某生命保険会社のセミナー講師などを務め、不動産相続コンサルタントとして争族のない幸せな社会構築のために活躍している。
























