サ高住と介護保険の今後(キムラ)
連載: 読者コラム
●要介護発生率の低下
厚生労働省「介護給付費実態調査月報」と総務省「人口推計月報」から要介護発生率、つまり要介護認定された人の占める割合の推移を見てみますと、その割合は減少していることに気づかされます。
その理由として、健康な高齢者が急激に増えたということは考えづらく、2009年に要介護認定の基準が厳しくなったことが理由のひとつに挙げられるように思います。その変更時点から、厚生労働省も新基準での判定は従来基準の判定よりも軽度に認定される方の割合が増えるということを発表していました。
●介護を受けたくても…
2013年6月18日号に老人ホームの需要が急増している旨の記事が掲載されていました。特別養護老人ホーム、いわゆる特養は年々その施設数が増加してきたものの、依然として多数の待機者が存在しているのが事実です。つまり、特養に入りたくても満員で入れない状況が続いています。また、先ほど述べた要介護認定の基準が厳しくなったことで、想定よりも軽度な要介護認定しか受けられず、特養の利用検討を断念せざるを得ないケースもあるでしょう。
さらに、厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会では介護保険の将来像について議論が重ねられていますが、自己負担割合の引き上げや介護保険料のさらなる引き上げ等々が検討されています。議論の中には、要支援(介護よりも介護予防のほうに重点をおいた区分)と認定された人に対する介護保険からの除外という発言も出ていることから、要介護認定の基準のさらなる引き上げが検討される可能性もゼロではないでしょう。
●サ高住のニーズ増加
特養は、要介護1以上に認定されないと利用することはできません。現実的に考えれば、要介護4、5程度の状況でなければ利用は難しいでしょう。その特養の施設不足を補うとして近年、注目をされ多く建設されているのが「サ高住」。サ高住とは、サービス付高齢者向け賃貸住宅の略称です(賃貸借契約方式の契約となることが多く、入居一時金は必要ないところがほとんど。その代わりに、一般的な賃貸契約と同様に敷金が必要になるところが多く、入居後には月額利用料を支払うことになります)。
特養と異なり、要支援と認定された場合でも入居が可能ですし、有料老人ホームに入居するために必要な一時金も必要ないことが多く、利用しやすい高齢者向けの住宅であるため、今後10年で4倍超の利用者需要を予測している研究会もあります。
●今後のサ高住
ニーズが高く、介護保険の今後の行方と合わせて考えれば、さらにそのニーズは増してくると予測されるサ高住とはいえ、やはりサービスの質によっては淘汰される施設が生じてくることは容易に想像がつきます。特養の受け皿として単純に「儲かる」という発想だけではなく、他にはない差別化戦略を熟慮した、息の長いサ高住が増えていくことが、今後求められてくるように思います。

キムラミキ(マイアドバイザー 登録)
ラフデッサン/代表
AFP・社会福祉士・宅地建物取引主任者
鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わる。その後FP会社でのスタッフ経験を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。
筆者ホームページ http://ameblo.jp/miki-fp/
























