もしも、入居者が認知症になったら?
連載: 読者コラム
■入居者が認知症になり、家賃を滞納した場合について
『家賃は2ヶ月分、先月まとめてお支払いしたはずけど!』
『いや、○○さん。頂いた記録がないのですが。家賃帳か領収書、お持ちですか?』
『いや、今、無いけど。間違いなく先月支払ったはずです!』
ある、認知症になってしまった入居者の方との会話です。
少子高齢化が急速に進む現代社会で、賃貸住宅の入居者の高齢化が進んでいます。最近、高齢者の方が賃貸住宅を借りる場合、「保証人がいない」・「家賃が払えない」・「身元引受人がいない」などの理由で部屋を借りにくいという状況も発生しています。
また、新しい問題として、賃貸住宅の入居者が認知症となり、家賃の滞納が起こった場合、どう対応したらよいのか?という問題も発生しています。その場合滞納家賃を認知症となった入居者に請求できるのでしょか?
■認知症となった入居者の責任能力は?
通常、入居者が家賃を滞納した場合、貸主は債務の確認書や支払い約定書を取り、最終的には裁判に訴えて、家賃を回収します。しかし、入居者が認知症になり、自分が家賃を滞納している事を認識出来ない場合は、貸主が家賃を回収することは不能になる危険性があります。
問題は、認知症の人に法律上の責任の能力があるかどうかです。法律的には難しい問題ですが、その責任能力は認知症の程度によると思われます。債務の確認(家賃を滞納している)が出来る軽度の場合は、責任能力があると判断され、家賃の支払い請求は可能と思われます。
高齢者入居者に認知症になった場合、そのことを理由として契約を解除できるかは、「貸室を適正に管理することができなくなったこと」を証明する必要があります。
例えば「物忘れが激しいく、鍵を紛失して入室できないことが頻繁にあり、管理会社や大家さんが度々呼び出される」とか「家賃の支払いを忘れて、何度言っても払ったと言い張るような状態になる」とか、「ストーブを消し忘れ、安全に部屋の管理ができない」などです。
■対応方法は?
その場合、家賃を支払ってもらう方法ですが、本人を説得できれば、自動引落、もしくは、自動送金にできれば問題は解決できると思います。しかし、認知症の症状が進み、本人が銀行へ行けない状態ですと、この方法も難しく、高齢者で認知症の方から、現実的に家賃を回収するのは困難となります。
認知症の進行具合によっては、行政に保護をお願するしかないと思います。身寄りがない方のための制度もありますので、市町村の担当者や民生委員などに相談することが必要です。
今回は家賃の支払い能力についてのみ考えましたが、火災・ガス爆発などの事故が発生した場合、誰が責任をとるのか?などの問題も発生します。
最終的には賃貸契約の基本に戻って、責任を取れる連帯保証人や、後見人をたてて契約をすることが大切です。

長倉連治(マイアドバイザー 登録)
明治大学工学部建築学科卒業後、建設会社に入社。現場管理・不動産の企画開発・分譲マンション事業に携わる。その後、不動産・建設会社等で、不動産の有効利用を専門に、多数プロジェクトを手がける。現在は、行政書士・マンション管理士・国土交通大臣登録証明事業不動産コンサルティング技能登録・宅地建物取引主任者 ・測量士補等の国家資格を生かし、不動産に関するコンサルタント業務を中心に行う。
現在、川崎の建設会社「山根工務店」で、主に不動産のコンサルタント業務に携わる。
行政書士熊谷・長倉合同法務事務所(共同代表)
山根工務店ホームページ http://www.yamane-koumuten.co.jp/index.html
























