信託の活用事例
連載: 読者コラム
信託を利用した古民家再生、信託制度がまだまだ浸透していない中で、目を引いた記事である。そもそも、信託はイギリスが発祥と言われていますが、教育や窮民救済の手法としては日本が古いのかも知れません。地域財産としての古民家が朽ちていく、そんな流れに歯止めがかかればと思います。また、地域活性化の手法として、日本の伝統的な手法が蘇りつつある様に感じます。
信託の可能性としては、リバースモゲージ、任意後見制度との併用、遺言書の代用等とその利用範囲は広い、しかし、まだまだ、一般に普及しているとはいえません。信託と言うと、遺言信託と思っている人までいるが、不動産事業にとっての信託活用は、新しい潮流となる予感を感じさせる。
さて、話しを古民家再生に戻そう、記事によると、大阪府不動産コンサルティング事業協同組合、レント有限責任事業組合、桐生不動産信託の連携により成立している。古民家の耐震性アップから市場の流通性をも視野に入れた取り組みであり、国土交通省のモデル事業としても採択されており、ノウハウが公開される事も嬉しい。遊休不動産活用の手法としての発展的な利用が望まれる。
事例では、不動産信託を活用して信託期間中賃貸事業を行い、事業そのものを信託する事によって保全、安全性を確保しながら、オリジネーターが個人や少数でも賃貸収益により再生資金を調達できるようにした点に大きな特徴がある。
オーナーは信託会社に対象不動産を委託し受益権を取得する。受託者である信託会社は建物を管理しながら、賃借人兼転賃人と賃貸者契約を締結する。事業期間(信託期間)は約10年で、期間満了時に不動産はオーナーに返還され、期間満了後はオーナー自身が古民家を賃貸することも可能となる。
オーナーにとっては、直接費用を負担せずに古民家が改修され、期間満了後には優良資産として手元に戻ってくるというメリットがある。また、個人の遊休資産として維持している場合と違って、固定資産税や火災保険料、建物維持費などが賃貸事業経費になることは、見逃せないメリットである。
大阪府不動産コンサルティング事業協同組合は、古民家などを超長期優良住宅ストックとして蘇らせることこそが「究極のエコ」だとしている。また、「各地の伝統的建造物群保存地区内や景観地区内肇の建物・景観づくりや保全にも効果があり、案件ごとに有限責任事業組合を組成すれば汎用性の高いスキームになるとしている。
古民家だけではなく、遊休不動産、町家の再生等への民間の資金や基金の活用が期待される中、信託を利用した手法の活用が望まれる。

猪股 豊(いのまた ゆたか)(マイアドバイザー.jp 登録)
(株)資産承継研究所 代表取締役社長。コミュニティサポートコンソーシアム合同会社【不動産・信託事業統括リーダー】。NPO法人 日本コミュニティライフサポートセンター代表理事。京阪神マンション管理士会理事。不動産実践塾『いの塾』塾長。大阪市立大学法学部法律学科卒業、大阪府立大学経済学部経済研究科修了。資産承継コンサルティング業務、税理士補助業務、不動産調査業務、不動産管理顧問業務、マンションコンサルティング業務、マンション管理者派遣業務、信託業務を中心とした事業展開を行っている。金融機関、建築士会、不動産団体、建築関連企業主催研修会、セミナー講師として活躍。
主な著書に、住宅新報社『マンションの価値を上げる 管理の超実践読本』(共著)。夕刊フジコラム『買って良いのか!このマンション』、住宅新報社新聞『不動産FPセミナー』執筆。
























