「セキュリティ・トークン」第三勢力なるか 不動産投資にデジタル化の波 先行者利益を狙い活発化するか 市場規模2.5兆円を見据える
住宅新報 2023年11月7日 号 1面
海外情勢により資源価格が高騰し、国内のインフレ圧力も高まっているが、そもそも不動産は昔からインフレヘッジに強い商品とされてきた。住宅ローン比較サイト「モゲチェック」と共に不動産投資サービス「INVASE(インバース)」を運用するMFS(東京都千代田区)の中山田明代表取締役CEOは、「インフレは長期化すると考えている。継続的に値段が上がれば、同じ貨幣でも買えるものが少なくなる。貨幣価値が下がってモノの価値が上がるのであれば、インフレ下の不動産投資は大きな資産を築く好機でもある」と話す。低金利で資金を調達して将来の値上がり期待の不動産を買う。ただ、日銀は10月31日まで開いた金融政策決定会合で、長期金利の上限を1%に厳格に抑えずに「1%をめど」と金融政策を再び修正し、運用の柔軟性を高めた。金融緩和の出口戦略の模索が続く。金融緩和が一段落して金利が上がり始めれば不動産価格は下落傾向に向かいやすい。既にポストインフレとして金融緩和を必要としない局面が意識され始めているが、中山田氏は、「家賃が上がっていれば利回りが上がっても不動産価格は変わらない。その意味で長期的なインフレという観点に立てば不動産価格は非常に安定的だと考えている」と指摘する。
先んじるケネディクス
いずれにしろ不動産会社と不動産投資家は、金融政策の変化に注意が必要な局面に突入する。そうした中で、投資家を引き付ける不動産商品とはなにか。有価証券で間接的に不動産へ投資する方法がその一つとして挙げられる。運用中の換金も現物不動産より不動産ST(セキュリティ・トークン)やJリートのほうが流動性は高い。アセットマネジメント会社のケネディクスは不動産STに照準を当てている。今年8月末に国内最大規模の不動産セキュリティ・トークンをみずほ信託銀行、野村証券、みずほ銀行との協業で募集・完了したことで注目を集めたが、その発行総額は134億円に上った。築20年以上が経過する地上43階建てマンションの「リバーシティ21 イーストタワーズⅡ」(総戸数642戸)を対象に実施し、都心の大型タワマンという分かりやすい資産性が需要を喚起したといい、金額・投資家属性とも個人投資家が主流を占めた。

























